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マット・グロッソ・ド・スル州=軍警が先住民青年を射殺=農園主らとの土地抗争で

2024年9月20日

先住民と対峙する軍警(Polícia Militar)
先住民と対峙する軍警(Polícia Militar)

 パラグアイと国境を接するマット・グロッソ・ド・スル(MS)州アントニオ・ジョアンで18日、グアラニ・カイオワ族の青年が軍警に頭を撃たれて死亡。複数の先住民青年も負傷する事件が起きたと同日付G1サイトなど(1)(2)(3)が報じた。
 軍警による先住民銃撃は、農園主達と先住民族の間で土地を巡る抗争が続いているアントニオ・ジョアン市のバラ農園(ファゼンダ)を占有しようとする先住民を阻もうとしたことで起きた。
 23歳の先住民青年の死は、同州イグアテミにある先住民族保護財団(Funai)地域監督のパウロ・ペレイラ・ダ・シルヴァ氏による声明でも確認された。また、グアラニ・カイオワ族による非営利団体「グアラニ・カイオワ族大総会(Aty Guasu)」は事件後、軍警突撃隊がバラ農園内の紛争頻発地区で先住民達に襲い掛かってきたとSNSで告発した。
 他方、軍警は、先住民達が攻撃を仕掛けていたから応戦したとの見解を発表。アントニオ・カルロス・ヴィデイラ州保安局長は、同農園周辺には、司法命令に従い、高速道と農園の本拠の間を人々が往来できるよう、安全確保のための軍警100人が派遣されているとしている。
 13日付G1サイト(4)によると、同市では12日にも、ニャンデル・マランガトゥ先住民居住地の青年少なくとも2人が軍警による銃撃で負傷する事件が起きた。軍警はこの時も、先住民約20人が侵入・占拠を試みたため、抗争が起き、負傷者が出たと報告している。
 先住民族と農園主らの土地を巡る争いとそれに伴う脅迫、死傷事件はここ2カ月間、パラナ州やMS州で繰り返されており、先住民族の代表や人権問題に関わる議員らからなる訪問団が11、13日にパラナ州西部のアヴァ・グアラニ族とMS州のグアラニ・カイオワ族の居住地を訪問している(11日付アジェンシア・ブラジル(5)参照)。
 18日付アジェンシア・ブラジル(6)によると、全国司教会議(CNBB)所属組織の先住民族宣教師協議会(Cimi)のルイス・ベントゥーラ事務局長は同日、アントニオ・ジョアン市ニャンデル・マランガトゥ先住民居住地で活動している公安部隊は、私的利益を守るための民間警備隊として動いているとの見解を表明。同先住民居住地では40年前も、グアラニ・カイオワ族最大の指導者だったマルサル・デ・ソウザ・トゥパンイ氏が自宅で銃弾5発を浴び、死亡している。
 同氏はさらに、軍警は連邦地裁の司法判断に従っていると言うが、判決が認めているのは治安を保証するために彼らを派遣することだけで、立ち退き命令でも差し押さえ命令でもないと強調。
 同氏は13日に現地を訪問した時、治安職員達が先住民に対する明らかな軽蔑や憎しみ、怒りを示し、先住民への攻撃を続ける決意も見せたことに驚いたとも発言。最高裁で開かれる調停委員会の会議に先住民の権利の専門家として参加するロゼリ・ルイス氏は軍警に先住民への攻撃を命じているし、彼女の娘はMS州職員として軍警の駐留や維持を求めているとも語っている。


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