脳にマイクロプラスチック=肺に続く発見は最大の警告

サンパウロ総合大学(USP)がベルリン自由大学と提携し、カンピーナス大学(Unicamp)の支援を受けて行った研究で、人間の脳にマイクロプラスチックが到達していたことが確認されたと18日付G1サイト(1)が報じた。
米国医師会が発行する科学雑誌『Journal of the American Medical Association』に掲載されたのは、サンパウロ州に住んでいた死者15人の脳を調べた結果をまとめたもので、分析された脳の内、八つで残留物が見つかった。人間の脳からマイクロプラスチックが見つかったのは初めてで、日常生活の中でプラスチックを使用するリスクに対する最大の警告サインと見なされている。
研究者達によると、これらの人達はプラスチック生産産業とは無縁だったという。最も一般的に見つかったのは、衣類や食品類の包装、ペットボトルなどに使われているポリプロピレンだった。
マイクロプラスチックは、プラスチックが分解する過程で極く微細な粒子に変化したものだ。世界中では毎年、約2200万トンのプラスチックが自然界に放棄されており、近年は海洋や魚などの海洋生物、水中、空気中からもマイクロプラスチックが発見され、この種の廃棄物による汚染に関する議論が盛んになっている。
同研究グループは2022年に人間の胚からプラスチック粒子を発見しており、脳を分析することを決めた。この研究のリーダーでUSPの研究者でもあるタイス・マウアド氏は、脳は人体で最も保護された器官であり、唯一の保護地域だと考えていたが、マイクロプラスチックがそこまで到達しているならば、他の器官にに存在することは容易に想像できるという。
マイクロプラスチックが健康上、有害であることは既に分かっているが、神経系にどの程度の影響があるかはまだ分かっていない。
研究者達は、アスファルト上で回転するタイヤや衣服などからも目に見えないほどの小さな粒子が放出されており、それが人間が呼吸する空気と混ざることで肺に至ると考えていたが、今回は匂いを処理する嗅球で粒子や繊維が見つかっている。研究者達は、呼吸を通じて取り込まれたマイクロプラスチックが匂いを処理する過程で作用する神経が通る小さな穴から脳内に侵入したと考えている。