火災・干ばつ対策で知事会議=アマゾン地域からの報告要請

【既報関連】例年にない少雨干ばつに高温などが重なり、森林火災や林野火災が昨年の倍以上という異常事態の実態把握と打開のため、北部や北東部、中西部の知事や副知事を交えた会議が19日に開催された。19日付G1サイトなど(1)(2)によると、大統領はマラニョン州を公用で訪問中だったため、知事達との会議の司会はルイ・コスタ官房長官が務めた。
会議では三権の長らの緊急会議同様、森林火災や農牧地で発生し、全国で起きている火災や干ばつに関する協議が行われ、火災多発地域の知事達が、官房長官や環境相、法務相といった閣僚や関連機関の代表らと同じ席に着いた。
19日付アジェンシア・ブラジル(3)によると、この会議で知事達が要請したことの一つは、三権の長らの会議でも出た、森林火災などを引き起こした環境犯罪者への懲罰の厳重化だ。マット・グロッソ州のマウロ・メンデス知事は、「気候上の問題は予見可能で火災多発や干ばつは予測していたが、犯罪行為による火災が殊の外多発し、事態を深刻化させている」「マット・グロッソ州では火災を起こした人物が短時間で釈放され、犯罪火災抑制効果が薄い」との言葉で犯罪火災重罰化を擁護した。
全国での火災の大半が人為的なものであることは、リオ連邦大学環境衛星応用研究所(LASA)のコーディネーターで地球科学博士のレナタ・リボナッチ氏による、落雷による火災は1%で、残る99%は人の手によるものとの言葉でも明らかだ(20日付アジェンシア・ブラジル(4)参照)。各地で火災を引き起こした嫌疑の逮捕者が出ていることも、この発言を裏付けている。法改正案や必要な措置策定は法務相を軸に行われる予定だ。
会議では、気候変動などの影響とそれへの対処の必要性も確認された。近年の少雨干ばつは新しい現実となり、頻度や程度も増している。エルデル・バルバリョ・パラー州知事は、「経験したことがないレベルの干ばつや高温が火災多発も招いている。気候変動により、国~地方自治体までの全レベルの政府に地域内での気候適応と回復力のための戦略を立てる必要が生じている」と語っている。
官房長官は会議後に、連邦政府は歴史的な干ばつや火災に対処するための資金を増し、必要な資材などを購入する意向であることも表明。三権の長らとの会議後に発表した5・14億レの特別融資の他、社会経済開発銀行(BNDES)が消防士や州が必要とする車両や機材購入などのための融資枠を準備することも約束した(19日付アジェンシア・ブラジル(5)参照)。
19日付アジェンシア・ブラジル(6)によれば、同件についてはワルデス・ゴエス地域統合相も同日朝、火災と干ばつに対処するために必要な資金が不足することはないと保証。また、フラヴィオ・ジノ最高裁判事も、「資金を理由に戦争を止めた例は見たことがない」とし、特別支出を擁護した(19日付G1サイト(7)参照)。
なお、ジノ判事は同日開かれたアマゾンとパンタナルの火災対策に関する調停公聴会後、火災の85%がアマゾン地域の20市に集中している理由を30日以内に明らかにするよう、同地域6州の知事に命じた(19日付アジェンシア・ブラジル(8)参照)。
国立宇宙研究所によると、今年の火災の20・5%(3万9247件)は北部と中西部の10市に集中しており、その内の7市は23年の森林伐採面積上位市のリストにも入っている(19日付アジェンシア・ブラジル(9)参照)。パラー連邦大学の調査では、アマゾン地域の火災はアグロビジネスが盛んな場所で集中的に起きていることも判明しており、火災は不法伐採による農牧地開発などが原因との見解も出ている(18日付アジェンシア・ブラジル(10)参照)。
欧州では不法伐採地で生産された農産物などは不買という動きがあり、火災や干ばつによる減産に加え、農業生産や輸出に対する負の影響も懸念されている(19日付オ・グローボ(11)参照)。