アモリン特別顧問=マドゥーロ政権は「独裁ではない」=ルーラの大統領就任式欠席を示唆

セルソ・アモリン大統領付外交問題特別顧問は、ブラジルとベネズエラとの関係維持の意向を示しつつも、ルーラ大統領が来年1月に行われるマドゥーロ氏の大統領就任式に出席する可能性は低いと発言した。同氏は、ブラジルがベネズエラの選挙プロセスにおける透明性を重視してきたこととその努力が失敗に終わったことを認める一方で、ベネズエラの現状を「独裁」と表現することは避けるなど、慎重な態度を貫いた。20日付ヴァロール紙など(1)(2)が報じた。
ベネズエラの選挙管理委員会(CNE)が、開票結果を公開しないままでマドゥーロ氏の勝利を承認し、対立候補のゴンザレス氏がスペインに亡命したことで、専門家らは隣国における選挙と民主主義を巡る騒動は「ゲームオーバー」と語っている。
アモリン氏はヴァロール紙の取材に対し、「決して『ゲームオーバー』ではない。ブラジルはベネズエラとの関係を断ち切るつもりはない。関係は国家とのものであり、たとえ右翼の人物が政権を握っていたとしても、断つことはない。干渉せずにできることには限界があるが、できる限りのことを行い続けるつもりだ。新たな選挙についても意見を出したが、政府も野党もその提案に同意していないようだ。それは、同提案が中立的で公平なものであった可能性を示唆している。ベネズエラは隣国であり、ブラジルにとって非常に重要な国だ。興味を失うことはない。可能な限り、民主的なやり方で働きかけるつもりだ」と発言した。
また、マドゥーロ氏の大統領就任式へのルーラ大統領の参加については、「現段階では出席することは考えにくい。ただ、4カ月後に何が起こるかは分からない」とした。
アモリン氏の発言は、両国関係を単なる外交的なものとしてだけでなく、地域の安定や経済的利益に寄与するものとして捉えているが、その一方で、国際社会において自国の立場を明確に表明する必要性も示している。
取材では、米国や中国との関係、アマゾンの火災などのグローバルな問題も取り上げられた。アモリン氏は国際関係における多極性の重要性を強調し、中国との戦略的パートナーシップを強化しつつ、同じ西半球に位置する大国である米国との関係も軽視しない考えを示した。また、米大統領選については、ブラジル政府はカマラ・ハリス候補を代表とする民主党により親和性があるとしつつ、トランプ氏が選出された場合には現実的なアプローチを期待する意向を示した。
さらに気候問題については、24日に予定されているルーラ大統領の国連総会での演説は環境問題に強く焦点を当てたものになると発言。現在、国内に影響を及ぼしている大火災にも言及しながら、「環境問題に対する積極的な姿勢を示し、国際社会に訴えることが重要だ」と語った。
アモリン氏の発言はブラジルが直面している複雑な地政学的状況を反映しており、世界的な緊張の高まりを背景に、外交的・商業的利益のバランスを取っていく必要性を示した。