ブラジル国連代表団=ネタニヤフ演説前に退場=レバノンやハマス攻撃に抗議=ウクライナ終結案も共同提唱

9月27日、イスラエルのネタニヤフ首相が国連総会の一般討論で演説を行う前にブラジル代表団が退場。ブラジルが同様の態度をとったのは初めてで、在留ブラジル人2人の死を招いたイスラエル軍によるレバノン攻撃への抗議も含めた態度は国際的な注目を浴び、他国の代表団もそれに倣った。ブラジル代表団は中国をはじめとした国との連名でロシアとウクライナの紛争の終結案にも署名した。同日付G1サイト(1)などが報じている。
ネタニヤフ首相はこの日の演説で、レバノンを攻撃したことに関して、「我々には脅威を取り除く権利があり、それを実行している」と述べて報復する姿勢を示し、各国が呼びかける停戦に応じる姿勢は見せなかった。同首相は前日、米国入りし、演壇に立ったが、ブラジルの代表団は総会議長が同氏の名前を呼ぶと総会ホール
から退出した。
関係者の話によると、この退場は、イスラエルが9月下旬にレバノンへの空爆を繰り返して700人もの死者を出し、その中に在留ブラジル人が2人含まれていたことや、武装派集団ハマスからの人質奪還を名目上の目的として、昨年10月から約1年間にわたり、パレスチナ自治区のガザ地区への攻撃を続け、ハマスとは無関係なパレスチナ人の女性や子供、国連関係者やジャーナリストなどを含む犠牲者を4万人以上出してきたことへの抗議の意味が含まれているという。
ブラジル代表団は前日の9月26日に行われたパレスチナ自治区のマームド・アバス大統領の演説は立ち去らずに聞いていたため、「テロ攻撃を仕掛けたハマス側の演説は聞き、イスラエル側の演説を聞かないのは政治的な判断として偏りがないか」との批判を行うメディアもある。
ルーラ大統領は予てから、昨年10月に起こったハマスによるイスラエル攻撃と人質を取ったことは批判しながらも、イスラエルがその報復として、その何十倍もの死者を生み、無関係な人たちまで巻き込むやり方を「ジェノサイド(大量殺戮)」と呼んできた。公式な数字として報じられているところだと、ハマスの攻撃による死者は約1200人だが、イスラエル軍によるパレスチナ人の死者はその30倍以上の4万人超に至っているといわれている。
総会ではネタニヤフ首相が停戦に応じる意向がないことを明示したため、中東諸国を中心に代表団退場が続き、同国に対する反感の強さをうかがわせた。
ブラジル代表団は同じく9月27日に、15カ国の代表や国際的な観察機関三つの代表との会合で、中国と共にロシアとウクライナの紛争終結案を提唱した。この案にはこの2国のほか、南アフリカ、アルジェリア、ボリビア、カザフスタン、コロンビア、エジプト、インドネシア、メキシコ、ケニア、トルコ、ザンビアが署名している。
同案ではどちらか一方を責めることなく、これ以上戦火が広がらないよう、平和に向けた双方の努力を求めている、さらに、ウクライナで進む敵意に対する懸念も示されている。(2)
ウクライナのゼレンスキー大統領は同案が提案される前から、ブラジルや中国の姿勢や言い分に不満に感じており、前日もルーラ大統領と批判を交わし合っていたため、終結案は大統領付外交特別顧問のセルソ・アモリン氏が代行する形で提示した。