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MSCがウィルソン・ソンズ買収=港湾ターミナルの混雑解消へ

2024年10月23日

MSCコンテナ船 (Divulgação/Bloomberg)
MSCコンテナ船 (Divulgação/Bloomberg)

 スイスのジュネーヴに本拠を置く海運大手MSCが21日、ブラジルの港湾サービス企業ウィルソン・ソンズ(以下、WS)を43億5千万レアルで買収し、ブラジルでの事業を拡大すると発表した。
 WSは186年の歴史を持ち、特にタグボートとコンテナターミナル事業で知られている。今回の買収により、MSCはブラジルの港湾ターミナルにおける処理能力を拡大。事業効率の向上と質の高いサービスの提供が期待されている。同日付オ・グローボ(1)が報じた。
 今回の取引は、WSの主要株主のOWオーバーシーズが所有するWS株(全体の56・47%)をMSC傘下のSASシッピング・エージェンシーズ・サービスが取得する形で行われた。ブラジル規制当局の承認が得られれば、2025年下半期に手続きが完了する見込みだという。
 WSは、1837年にスコットランド移民のウィルソン兄弟によって北東部バイア州サルバドールに設立され、石炭事業と海上サービスを開始。23年には24億レの売上を記録し、22年比で19・5%増となる4億500万レの純利益を上げた。だが、24年第2四半期の純利益は4500万レに落ち込み、前年同期比で60%減となった。
 WSは多様な事業を展開しているが、主力事業は港湾における大型船舶の接岸を支援するタグボート事業で、70隻の船を保有。これは中南米最大だ。また、石油やガスの採掘プラットフォームへの物資や機材の補給を行う海上支援業務も手掛けている。
 さらに、リオ・グランデ・ド・スル州のリオ・グランデとバイア州サルバドールの2カ所でコンテナターミナルも運営している。
 一方、MSCはすでにサンタカタリーナ州ナベガンテス港にターミナルを所有しており、さらにサンパウロ州サントス港でも、デンマークのコンテナ物流会社マースクとの合弁事業でターミナルの半分を所有している。この買収により、MSCはブラジルでの事業をさらに拡大することが見込まれる。
 ブラジル国内の港湾ターミナルが深刻な混雑状態にある中で、MSCがWSを買収したことは、戦略的な動きだと専門家は分析。現在、国内港湾の大半は処理容量の不足に直面しており、船が時間通りに到着しても接岸できないという問題が発生している。
 また、WSが運営する2カ所のターミナルは、十分な喫水(きっすい、船体の一番下から水面までの垂直距離)の確保ができており、大型船舶の接岸が可能であることも強みだという。これらのターミナルには拡張の余地があり、MSCにとり、将来的な能力拡大の好機となる。
 物流コンサルタントのレアンドロ・バレット氏は、「船舶はますます大型化しており、以前は600メートルのヤードで3隻の船を同時に収容できたが、現在では2隻を置くのがやっとだ。ブラジルのターミナルはまだ改善の余地がある」と述べた。また、ターミナルの拡張、ヤードやバース(船の停泊場所)の整備が必要で、特にリオ・グランデのターミナルは拡張の潜在性が大きいと説明した。


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