下院議長選=モッタ氏が絶対的有利に=15党からの支持を獲得=争点となるのは恩赦法か

次期下院議長選で有力候補と見られているウゴ・モッタ下議(共和者・RP)が右派、左派、中道を含む15政党からの支持を得、3カ月近く先に行われる同選挙で決定的に有利な立場となっている。6日付G1サイト(1)などが報じている。
モッタ氏が優勢であることは、10月にルーラ大統領の労働者党(PT)とボルソナロ前大統領の自由党(PL)の左派・右派を代表する両党が共に支持を表明したことで明らかになり始めた。
PTは、予てから懇意だったRP党首のマルコス・ペレイラ下議が推薦したこと、PLはボルソナロ氏と犬猿の仲だったペレイラ氏が議長選に出馬せず、予てから同党に受けが良かったモッタ氏に候補が代わったことで支持に転じていた。これを受け、アルトゥール・リラ下院議長(進歩党・PP)も自身の後任としてモッタ氏を推薦した。
これに対し、モッタ氏が浮上するまで有力と見られていたエルマール・ナシメント下議(ウニオン)とアントニオ・ブリット下議(社会民主党・PSD)は強く抵抗した。だが先週、ウニオンが党としてモッタ氏支持に傾いたことで、エルマール氏が出馬を断念した。
また、今週に入ってからは各政党が一気にモッタ氏への支持を表明し始めた。5日は、中道右派の民主社会党(PSDB)、同党と同盟関係にあるシダダニア、さらに中道左派のブラジル社会党(PSB)と民主労働党(PDT)が一気にモッタ氏支持を表明。6日には民主共和党(旧・ブラジル労働党・PRD)と連帯(SD)がこれに加わった。(2)
これにより、下院に党員を抱える20政党の内15政党がモッタ氏を支持することを決めた。下院議長選の場合、一次投票で過半数の257人を超えれば決選投票抜きで当選が決まるが、この15政党の下議を合わせると385人となる。
まだ正式にモッタ氏支持を表明していないのは、ウニオン、社会主義自由党(PSOL)、アヴァンテ、ノーヴォ、PSDの5党のみとなった。(3)
現状で、ブリット氏はまだ出馬を取り下げていない。だがPSD側は2025年からの下院での役職と引き換えに出馬断念の可能性があるとも言われている。先に断念したエルマール氏は、議員割当金の法案の報告官に選ばれたと4日に報じられている。(4)
PTとPLが共にモッタ氏を推す背景には、来年に審議が本格化するとみられている1月8日襲撃事件に関する恩赦法の存在がある。PTは同案を廃案もしくは骨抜きにしたいと目論んでおり、PLは同法でボルソナロ氏に恩赦を与え、2026年の大統領選に出馬できるよう道筋をつけたいと考えている。
だが、両党ともにモッタ氏に不安も抱えている。モッタ氏は襲撃事件の裁判に対し、「大げさなところがある」と発言しているし、米国大統領選でトランプ氏が当選したことに関しても、「右派を勇気付ける」と歓迎する発言を行い、PTを心配させている。
一方のPL内でも、モッタ氏がPTとPLの言い分でバランスをとった恩赦法にしようとしていると見て、不満を漏らす議員がいると既に報じられている。