EU/メルコスル=FTAは12月に妥結か=フランス農民再び抗議も

欧州連合(EU)とメルコスルは自由貿易協定(FTA)締結に向けた最終段階に入っており、カルロス・ファバロ農相は18日、12月5〜6日にウルグアイで開催される次回のメルコスル首脳会議において、協定の議定書が正式に署名される見通しだと述べた。19日付ポデール360など(1)(2)が報じた。
同相はリオ市で開催されていたG20サミットの最中、記者団に対し、最近のFTA交渉では心強い進展が見られたとして、「これほどまで協定締結に近づいたことは一度もなかった」と述べた。
協定締結の主な障害は依然としてフランス政府の反対にあるが、フランスの立場は正当であり、尊重されるべきであるとしつつ、大半の賛成を得ている欧州圏の他の国々からの圧力が、協定承認に影響を与える可能性を説明。メルコスル側ではパラグアイの反対はすでに収束しており、欧州側でも同様の展開が予想されると指摘した。
一方、ルーラ大統領は17日、リオ市で欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長と会談した。両者は協定交渉を年内に終了させることを望んでおり、同委員長は自身のXで、「経済的にも戦略的に非常に重要な協定だ」と述べたが、期限やその他の詳細には言及しなかった。(3)
EUとメルコスル創設時の加盟国(ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ)は、25年間にわたり、両ブロック間のFTA締結のための交渉を続けてきた。この協定は、約8億人の市場を統合し、EUと南米ブロックの間で相互に輸出される製品の90%以上の品目に対する関税を撤廃することを目指しており、2019年に政治的合意に達したものの、EU内の複数の国が進展を妨げている。
フランスはかねてからこの貿易協定に反対しており、エマニュエル・マクロン大統領は18日、フランスの支持なしにはEUがメルコスルとの交渉を締結することはないと考えていると明言。さらに、協定に反対しているのは同国だけではないと述べ、提案されている規定を再考すべきだと主張した。(4)
また、イタリアのフランチェスコ・ロロブリジーダ農相も同日、現行の条件でのFTA案を拒否し、両ブロックの農業従事者に対して同じ「義務」を課すことを要求。「地政学的な危機はすでに第一次産業を劇的に弱体化させており、生産コストと価格の低い輸入品の影響に耐えることはほとんどできない」と説明した。同国の農業部門を代表する主要団体は、この協定締結に反対している。(5)
EUとメルコスルが年末までに交渉を妥結するよう圧力をかける中、フランス国内では怒りが再燃し、同国の農業従事者らは18日、同協定に反対するために全国的な抗議活動を行った。(6)(7)同国では今年1月にも同様の抗議活動が行われていたが、今回はフランス農業経営者連盟(FNSEA)と若手農業者団体の呼びかけにより、G20サミットの開始と同時に行われた。
パリ近郊では、農業従事者らがトラクターを使い、「望まない農業製品の輸入を許さない」とのスローガンを掲げて一部道路を封鎖した。
彼らは安価な輸入品、過剰な規制、低収入といった厳しい現実に直面する中、メルコスルとの協定が「最悪の事態をさらに悪化させる」と懸念している。特にブラジルやアルゼンチンからの牛肉、鶏肉、砂糖、トウモロコシの輸入増加に不安を抱いており、これらの国々が使用する農薬や成長ホルモンがEUでは禁止されていることを指摘している。
これらの抗議活動は12月中旬まで続く見込みだと報じられている。