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トランプ=BRICS通貨に100%課税=ドル弱体化は米国に脅威=ルーラらの動きに釘刺す

2024年12月3日

トランプ氏の投稿(Social truth/Reproducao)
トランプ氏の投稿(Social truth/Reproducao)

 米国のトランプ次期大統領は、独自通貨を導入しようと考えるBRICS諸国に対し、「導入すれば関税を100%にする」との威嚇とも取れる発言を行った。11月30日付CNNブラジル(1)などが報じている。
 威嚇的発言はトランプ氏が11月30日にSNS上で行ったものだ。トランプ氏はそこで、「BRICSがドルに代わる通貨を作ったり、ドル以外の通貨を推奨した場合には、BRICS加盟国に対し100%の関税を課す。そうすれば、彼らは素晴らしき北米経済にありつくことはできなくなるだろう」と発言した。
 ロシアのカザンで10月に行われたBRICS首脳会議では、ドルに代わるBRICS内での共通通貨の立ち上げが提唱されている。会議直前に自宅で転倒してリモート参加を余儀なくされたルーラ大統領も、自ら率先してこの通貨の必要性を擁護、推奨する発言を行っていた。
 ブラジルは来年の3月からBRICSの議長国となるが、それを機に「BRICS銀行」とも呼ばれる「新開発銀行(NRD)」の権限の強化も考えている。同銀行総裁はジウマ元大統領が務めている。
 トランプ氏の発言の背景にはBRICS強化の動きがある。BRICSは、ブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国を指していたが、その後、南アフリカが参加。そこに新興国の加盟が相次ぎ、2024年1月にエジプト、エチオピア、イラン、アラブ首長国連邦が加盟。今後も3カ国を増やし、拡大していくとの意向が示されている。
 24年1月現在の加盟国の人口は全世界の人口の46%を占めており、加盟国が増えれば、その割合はさらに増えることになる。また、GDPの世界ランキングにおいても、中国が2位、インドが7位、ブラジルが9位、ロシアが11位と、影響力がかなり強くなってきている。
 ドルは1944年のブレトン・ウッズ合意以降、国際通貨と認められ、以来、80年間にわたり、米国の世界的優位を支えてきた。これが崩れることは米国にとって、脅威になり得る。
 他方、BRICS加盟国では、自国経済がドルの都合に振り回され続けてきたことから逃れたいという思いが高まり、新通貨をと願っている。ロシアに関して言えば、ウクライナ侵攻を理由として受けたスウィフト(国際銀行間通信協会)からの排除のような経済制裁対策としても、脱ドル化は是が非でも実現したいところだ。ブラジル外務省はまだ、この問題に関しての見解を出していない。(2)
 トランプ氏は、中国に対する関税引き上げだけでなく、カナダやメキシコといった隣国に対しても、2025年より、輸入品に25%の課税を行うことを宣言している。
 30日付CNNブラジル(3)によれば、サンパウロ市のビジネススクールInsperの中国経済学教授ロベルト・デュマ氏は「これらの国々は『我々が世界の大部分を占めているが、依然として米国が支配している』と不満を持っており、だから金融システムを多極化させようとしている。これらの国々は決定を下す力を持っていないが、発言する力を持ちたいと考えている。ブレトン・ウッズ体制内で権力を持たない人々が新経済秩序を求めている。目的は既存のものを破壊することではなく、それを補完することだ。そしてブラジルは避けられない代替統治の一部になろうとしている」と結論づけたと報じた。


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