金融市場=90%が現政権を否定的評価=96%は方向の間違い指摘=ハダジ財相の力の喪失嘆く

世論調査会社のジェニアル/クエスチが4日、金融市場の経営者やエコノミスト、アナリスト、意思決定者を含む市場代理人の90%は第3期ルーラ政権を否定的に評価しており、現政権の経済政策は誤った方向に向かっていると考えている人は96%に及ぶという調査結果を発表したと同日付G1サイトなど(1)(2)(3)(4)(5)(6)が報じた。

現政権に対する金融界の評価は政権発足直後の23年3月の90%以降、常に否定的評価が肯定的評価を上回っているが、財政均衡法への取り組みなどで23年7月の否定的評価は44%に落ちた。その後の否定的評価は緩やかに上昇していたが、今回調査では今年3月の64%から急伸し、90%に達した。
11月29日~12月3日に金融市場関係者105人を対象に行われた調査では、政権への肯定的評価は3月の6%から3%に、普通も3月の30%から7%に低下した。統計上の誤差は上下に3・4%ポイントだ。
今回調査は、統一地方選前から必要とされていた歳出削減への対策発表が遅れた上、やっと出た対策案は所得税減税も含み、財政均衡法に沿った基礎的財政収支の赤字ゼロ化には不十分と思われたことや、公的負債増加の発表などの影響が出たようだ。回答者の86%は大統領は自分の人気を心配していると見ており、財政上の収支バランスを心配していると答えた人は29%に止まった。
また、4日付CNNブラジル(7)によると、現政権の経済政策の方向は正しいかとの問いには98%が「間違っている」と回答し、23年3月の98%と並んだ。今後12カ月間の経済予測は、悪化が88%、現状維持が10%、改善が2%だった。
他方、市場では、ルーラ氏の選挙公約だった月収5千レまでの労働者への免税は承認されると見ており、連邦政府の政策や財政状態の監視役としての議会に対する評価が低下。否定的評価は昨年11月の17%から41%に増えた。
クエスチはハダジ財相についても質問しており、肯定的評価が50%から41%に低下。否定的評価は12%から24%に上がった。普通は35%が38%でほぼ安定だった。
ハダジ財相の肯定的評価は、政権発足後が10%、23年5月も26%だったが、財政均衡法への取り組みで65%になった23年7月以降は常に、否定的評価を上回っている。
ただ、ルーラ氏を説得しきれず、所得税の課税基準見直しも盛り込んだことなどで、11月末発表の歳出削減案は市場の期待を裏切る内容に終わり、財相の働きは政権当初より弱まったとの評価が14%から61%に急増。同じは35%、強まったは4%だった。4日付インフォマネーなど(8)(9)(10)によると、市場関係者はハダジ氏の力の喪失を嘆いているが、これ以上財相の力が落ちれば財政政策や経済政策が揺るぐと見ており、財相を支援する姿勢を見せている。
なお、歳出削減策への評価は、不満が58%、多少満足が42%だった。それでも、67%は同策発表で外国投資は増えると見ており、同じの30%や減るの3%を上回った。
ハダジ氏の力喪失との評価にも繋がった財政均衡法に関する評価は、信頼性が薄い42%、信頼性がない58%で、基礎的財政収支の赤字ゼロ達成時期の予測も25年37%、26年34%だった。
なお、4日付カルタ・カピタル(11)によると、同日発表されたアトラスインテルの調査は、ブラジル、アルゼンチン、チリ、コロンビア、メキシコの大統領の支持率を提示。支持率最高はメキシコのクラウディア・シェインバウム大統領の63%で、ブラジルのルーラ大統領とアルゼンチンのミレイ大統領が47%、チリのボリック大統領が44%、コロンビアのペトロ大統領が40%と続く。不支持率は同じ順で、28%、47%、46%、52%、51%となっている。