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小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=101

2024年12月18日

 二月になると稲の穂がふくらんだ。早植えの稲がとれ初めた頃、イサノは男の子を生んだ。
 「ジョゼ」
 と運平は名付けた。如是という漢字を当てた。坊さんのような名だったが、それが彼の心境でもあった。
 入植者はボツボツと増えていた。平野川の対岸に二百四十アルケール買いたした。畑中仙次郎の名で分譲させた。一千アルケールや二千アルケールでは小さい、と運平は思っていた。際限もなく大きな土地に植民地を作りたかった。
 四月、五月と稲をとり入れ、五月と六月が綿つみだった。枯れた綿畑に白い花が咲いたように綿がはじけている。地質が良く綿がのびながら、人の姿はすっぽりと隠れて...

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