ACAL=大晦日に第51回餅つき祭り=「搗くほど一体化する餅のように」=林禎二氏が大使として初出席

リベルダーデ文化福祉協会(ACAL、矢野ペドロ会長)は昨年12月31日午前9時からサンパウロ市リベルダーデ区の同広場にて「第51回餅つき祭り」を開催した。会場では紅白餅2万袋の無料配布が行われ、来場者による長蛇の列ができた。サンパウロ市市民に大晦日の恒例行事として広く親しまれている。
無料配布のテント前には午前8時前から行列が出来ていた。午前9時過ぎ、列の先頭に張られていた紅白テープが矢野会長と小川彰夫評議委員長によってカットされ、配布が始まると並んでいた人は次々に紅白餅を受け取っていた。その一人、オザスコ市から来た原田久勝さん(80歳、2世)は「池崎博文さんに誘われて15年前から毎年来ている。楽しみにしているよ」と笑顔を浮かべた。

会場となった広場には特設舞台が設けられ、南米神宮の逢坂和男宮司による茅の輪くぐりが行われ、無病息災を祈願する一般市民が長い行列を作っていた。
開会式では上村(かみむら)綾子さんが日伯両語を織り交ぜて司会をし、矢野会長はまず、大使として初めて出席した林禎二氏や故池崎博文ACAL元会長に加え、開催に協力してくれた日系5団体、警備関係者らに感謝の言葉を述べ、「もち米は蒸して潰して叩くことで一体化する。我々の人生と同じで、だから餅は今日のような祭りごとの時に食べられる。新年が豊穣に満ちていますように」と挨拶した。
サンパウロ日伯援護協会の洲崎順副会長に続いて、ブラジル日本文化福祉協会の山下譲二評議員会長が登壇し、「この素晴らしい伝統を継承し続けていることに感謝する。餅が搗けば搗くほど一体化するように、我々の連帯も困難に打ち勝つことでより強まる。力を生む団結は、今こそ必要なもの」とイベントの意義を強調した。
ケンジ・イトウサンパウロ市議、羽藤ジョルジサンパウロ市議も出席し、「1日に市議会で就任式をする我々は、日系社会への支援をここに約束する」と誓った。林大使も「リベルダーデは世界最大の日本文化普及拠点であると同時に、ブラジルの多文化を象徴する場所でもある。餅は神前に供えるもので、日本文化の精神がそこにはある。新年は日伯外交樹立130周年であり、この広場でも盛大にそれが祝われることを祈っています」との言葉を贈った。

さらに石臼と杵で餅を搗くデモンストレーション、太鼓グループ『桜吹雪』による演奏も行われた。林大使に参加した感想を尋ねると、「日本よりも伝統的な餅つきでビックリした。石臼にしめ縄がまかれ、茅の輪くぐりをするなど、昔、神社の境内でやっていたお正月の神事の雰囲気を感じさせる。リベルダーデはとても貴重な場所」としみじみ述べた。

一足先にお雑煮で新年祝う=2月から藤田ダニーロ新会長に
リベルダーデ広場での餅つき祭り開幕式の後、主催者と来賓らは会場を東洋会館に移し、改めて祝賀会を行った。小川評議員会長が「ちょうど正午になり、日本ではもう年越し。こちらでも餅とお雑煮でお正月を祝いましょう」と開会の言葉を述べ、移民を顕彰して「移民送別の歌」、去る年に「蛍の光」、くる年に「一月一日」の歌を合唱した。

今回、市議会からACAL創立50周年を祝う記念プレートが羽藤市議から矢野会長に手渡され、それを池崎氏の息子カルロスさんと共有した。カルロスさんは「これは全て池崎さんや網野弥太郎さん、水本毅さんのおかげ」と代々の会長名を出して顕彰した。
矢野会長に新年の抱負を尋ねると、昨年11月29日の総会で、この2月1日から藤田ダニーロさん(太陽堂創立者の藤田芳郎さんの孫)が新会長に就任することが決定したという。「私は91歳。池崎さん亡き後の大事な2年間を勤めさせてもらい、若い人に引き継げたのはとても嬉しい」と肩の荷を下ろした様子だった。

網野弥太郎元評議員会長は「新会長はまだ50代で若い。日系店主に限らずに新会員を入れるなど、ACALに新風を吹き込んでくれることに期待したい」と語った。
北米カリフォルニア州のフリーペーパー「ベイスポ」副社長の長岡ヒロさん(53歳、東京都出身)も「サンフランシスコでは教会やお寺で餅つきをするぐらいで、このような大きなイベントとしてはない。あちらの日系イベントは4世の若者が中心だが、こちらではまだ高齢者が頑張っている。あちらの若者は日本文化を良く知らない部分があるが、こちらはむしろ日本より伝統的」と興味深い比較をした。