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ルーラ政権=2025年予算案の調整を加速=ドル高と財政圧力で舵取り困難=財政赤字ゼロ目標実現なるか

2025年1月8日

ルーラ大統領(左)とハダジ財相(右)(Foto:Marcelo Camargo/Agência Brasil)
ルーラ大統領(左)とハダジ財相(右)(Foto:Marcelo Camargo/Agência Brasil)

 ドルの急騰と財政支出削減への圧力が続く中、ルーラ大統領は6日、ハダジ財相の休暇を取り消し、2025年予算案に関する協議を行った。予算案は2月に審議、採決の予定だが、歳出削減策の承認の遅れが影響し、議会での調整が必要となっていると、同日付G1サイトなど(1)(2)が報じた。
 ハダジ財相は、予算案が可決されていなくても政府運営には大きな影響はないと述べる一方、予算案を財政枠組みや昨年末に可決された法律に合わせるため、議会の予算案報告者との協議が必要だと指摘。昨年末、最低賃金の引き上げ抑制や給与ボーナス支給条件の変更といった歳出削減策の議会での承認が遅れたことが、現在の予算案の調整を遅らせる要因となっている。
 財相はこの歳出削減策により、2025〜26年に698億レの節約が可能と見込んでいるが、市場からはその効果について懐疑的な見方が示されており、アナリストらはさらなる削減策を講じることが重要だと指摘している。
 6日に行われた会談では新たな歳出削減案の議論は行われなかったが、ハダジ氏は今後、追加の削減案をルーラ大統領に提案する意向を示している。また、同相はドル高対策としての金融取引税(IOF)引き上げを否定した。市場ではIOF引き上げへの懸念が広がっていたが、同相は「ドル高は自然な調整プロセスの一部だ。昨年末の世界的な市場ストレスの影響もあったが、今年に入ってトランプ次期米国大統領がキャンペーン中の提案を抑制する発言をしたこともあり、現在は落ち着きを取り戻しつつある」と述べた。
 国外でのクレジットカードやプリペイドカード(ドル建て)の使用に適用されるIOFの税率はこの年頭に、4・38%から3・38%へ引き下げられた。この措置はボルソナロ政権下の22年に定められたもので、ルーラ政権で変更されたものではない。国外送金時の税率は0・38~1・1%の範囲で変動する。
 同相はまた、現行の変動相場制を維持し、ドルの急激な変動や市場での歪みが発生した場合に限り介入すると説明。昨年末、中銀は異例の資金流出に対応するため、多額のドル売却を実施したが、これは市場安定化のための措置であり、為替レートの防衛を目的としたものではないと強調。この措置により、外貨準備高は7%減少し、3297億レとなった。
 また、経済基本金利(Selic)は12・25%に引き上げられたが、これは国際的に見て高水準で、財政政策と金融政策の調和が求められる状況にある。基礎的財政収支の赤字ゼロを目指す政府の取り組みが進まなければ、さらなる金利引き上げが必要になる可能性も示唆されている。
 連邦政府は25年までに財政赤字ゼロを目指しているが、財務省が発表した歳出削減策による財政効果は市場の期待を下回るとの指摘もある。ハダジ財相は昨年末、議会が削減策の一部を変更したことによる影響の大きさを小さく見せようとする姿勢を見せたが、他方で、25年中に新たな歳出削減策を講じる意向を示している。だが、具体的な内容は明らかになっていない。
 なお、ハダジ財相とルーラ大統領との会談は7日も続いている。予算案関連の論議は今月後半に開かれる初回閣議での主要議題でもある。


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