在サンパウロ総領事館管轄内の100歳以上邦人表彰 世界58人中27人がここに 「四つの御代を生き抜いて」
在サンパウロ総領事館(清水享総領事)は24年12月19日正午からサンパウロ市南部の総領事公邸にて、日本政府が発表した令和6年度百歳表彰の同領事館管轄内受賞者表彰式を行った。25年3月末までに100歳を超える海外在住邦人は58人で、その内27人が同領事館管轄のサンパウロ州、マット・グロッソ・ド・スル州、マット・グロッソ州、ミナス・ゼライス州の一部に在住し、表彰式には12人の受賞者が元気な姿を見せた。式には受賞者家族、日系団体代表者ら約65人が出席し、受賞者の長寿を祝った。

清水総領事は冒頭、100歳以上の在外邦人高齢者の約半数が同領事館管轄だったことについて触れ、「人生50年時代にお生まれになった皆さんですが、大正、昭和、平成、令和の御代を生き抜いてこられました。ブラジルでは並みならぬご苦労をされ、数えきれない辛苦を乗り越えて、晴れて表彰の日を迎えられた。我々に人生の模範を示していただいてきたことに感謝します」と祝辞を述べた。
表彰式では、岸田文雄首相(当時)から9月付で贈られた祝状と銀杯が、清水総領事から12人に手渡された。家族に車椅子を押されながら出席した谷口貞江さん(99歳、福岡県)は、眼鏡をとって涙をふきながら「ありがとうございます」と頭を下げた。総領事は一人一人にアブラッソ(抱擁)し、祝意を伝えた。坂本明さん(99歳、和歌山県)は杖を手にまっすぐに立ち「一言お礼を言わせてください。けっこうなものを頂き、ありがとうございます。皆さん今後も元気で頑張りましょう!」と会場中に響く声で呼びかけ、拍手が沸いた。
最後に来賓のブラジル日本文化福祉協会の石川レナト会長が乾杯の音頭を取り、参加者全員で祝杯を上げた後、家族ごとに記念撮影をし、なごやかに昼食を食べながら懇談した。
「今までに7回死にそうになったが、その度に生き長らえた」という石川義夫さん(102歳、静岡県、バウルー在住)に長生きの秘訣を聞くと、若いころから天理教を熱心に信心し、今でも欠かさずに境内の掃除などのお勤めをしていることを挙げた。
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映画「ガイジン」の山崎千津薫監督に伴われて出席した母・山崎スミ子さん(100歳、千葉県)は「私が入った戦前、アチバイアに日本人はほとんどいなかった」と振り返り、長寿の秘訣として「植物の世話、食事の用意、縫物とか生活のこと、なんでも自分でやること」と述べた。
在サンパウロ総領事館管轄内の受賞者は次の通り。石川義夫(102歳、静岡県)、佐藤クニ子(101歳、福島県)、安倍チエ子(100歳、北海道)、野村陽(よう、100歳、福島県)、池田文枝(ふみえ、100歳、熊本県)、幕田セツイ(100歳、福島県)、杓子屋茂美(しゃくしや、100歳、大阪府)、沖山スゞ子(100歳、東京都)、山崎スミ子(100歳、千葉県)、田原つや(100歳、福島県)、田中芳子(よしこ、100歳、高知県)、佐野武(たけし、100歳、静岡県)、船橋ミツエ(100歳、東京都)、東民子(ひがし、100歳、和歌山県)、川崎二三男(ふみお、100歳、北海道)、高木正親(たかきまさちか、100歳、熊本県)、土岐正則(ときまさのり、100歳、三重県)、森元ハヤ子(100歳、熊本県)、谷口貞江(たにぐち、99歳、福岡県)、木田育代(きだいくよ、99歳、福岡県)、西村愛子(99歳、北海道)、坂本明(99歳、和歌山県)、大堀好子(おおほりよしこ、99歳、福島県)、鈴之原ヒロコ(99歳、鹿児島県)、鈴鹿山伯留(すずかやまはくりゅう、99歳、広島県)、横山恵久(えく、99歳、山梨県)