南部沖合に大規模油田か=ナミビア油田発見で話題=エネルギー輸出大国に!?

近年、アフリカのナミビア沖で油田発見が相次いでおり、同様の地質構造を持つブラジル南部のペロタス盆地での石油埋蔵への期待が高まっている。専門家らは、アフリカでの油田発見はペロタス盆地が「岩塩層下(プレソルト)の後継者」となる可能性を示唆しており、国のエネルギー安全保障を支える上で重要な源泉となると期待していると、12日付G1など(1)(2)が報じた。ナミビアでは過去8年間で、推定100億バレルを超える埋蔵量が確認されている。
南アメリカとアフリカは1億1500万年前までは、超大陸パンゲアの隣り合った一部だった。その後、大西洋を挟んで分裂したとはいえ、両大陸は地質学的類似点を共有している。ナミビアに対応する、南米の地域はリオ・グランデ・ド・スル州とサンタカタリーナ州の沖合のペロタス盆地であり、ここにも油田が存在する可能性が示されたことになる。
ナミビアで発見された石油は、約1億2500万年から1億1千万年前に形成された地層にある深海の砂岩堆積物に由来している。南米南部とナミビアは同時期、隣接しており、ペロタス盆地にも同様の地質構造が見られる。このため、ナミビアで発見されたものと同様の大規模な石油埋蔵量を持つ油田が、6千キロ離れたペロタス盆地にも存在する可能性がある。
ペロタス盆地はリオ・グランデ・ド・スル州の海岸全体からサンタカタリーナ州南部の海岸にかけて広がっており、ウルグアイのプンタ・デル・エステ盆地と接している。同地域はこれまであまり注目されてこなかったが、ナミビアの油田発見を受けて、今後の石油探査の重要なターゲットとして浮上してきた。
ペロタス盆地ではこれまでに19回の掘削が行われたが、いずれも商業化には至らなかった。だが、ナミビア沖での発見が示すように、深海の砂岩層には豊富な石油資源が埋蔵されている可能性があり、ペロタス盆地でも同様の結果が得られる可能性が高まっている。ブラジル政府も同地域に対する関心を強めており、国家原油庁(ANP)のロドルフォ・サボイア長官は、ブラジルが将来的に石油輸入国に戻らないためにも、未開発の鉱床であるペロタス盆地や赤道周辺域(エクアトリアル・マージン)の開発を急ぐべきだと強調。同長官は、現在採掘されているプレソルト層の油田の埋蔵量は2030年以降、減少する見込みとし、ペロタス盆地が次の主要な石油供給源となる可能性を指摘した。
ペロタス盆地に実際に石油が存在するか否か現時点では確認されていないが、同盆地には44鉱区があり、ペトロブラスや英国のシェル、中国の海洋石油集団(CNOOC)、米国のシェブロンなどの大手石油企業が探査を行っている。専門家らは、同地域にはナミビアでの発見に匹敵する大規模油田が存在する可能性を指摘し、今後の探査結果により、ブラジルのエネルギー産業は大きな転換を迎えることになると強調している。
また、石油が発見されれば、数千人規模の直接・間接的な雇用創出の他、エネルギー分野にも数十億ドル規模の投資が促進されると期待されている。
サボイア長官によると、ペロタス盆地における石油の商業化にはまだ数年以上かかると見られ、早くても2030年代初頭になるという。だが、今後の石油探査の成果により、ブラジルの石油生産の多様化に寄与し、再びエネルギー輸出大国としての地位を確立することができると期待されている。