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ルーラ政権で財政赤字が再拡大=今年の名目赤字は世界2位予測=29年の債務はGDPの99%に

2025年1月17日

2025年の名目赤字対GDP比国別ランキング(15日付CNNブラジルの記事の一部)
2025年の名目赤字対GDP比国別ランキング(15日付CNNブラジルの記事の一部)

 BTGパクチュアルの報告によれば、ブラジルの2025年の名目赤字の対国内総生産(GDP)比率は前年比で0・8%ポイント(PP)増の8・6%に達し、1位ボリビアの9・7%に次ぐ世界第2位となる見込みだ。また、ブラジルは新興国の中で唯一、2024〜25年にかけてマイナス収支が拡大する国になると予測されていると、15日付CNNブラジルなど(1)(2)(3)が報じた。

 名目赤字とは、政府の歳入から支出を差し引いた後、公的債務の利払いを加えたものを指す。これは政府の財政の健全性を示す指標で、公的債務の今後の推移を示す予測材料ともなる。
 この調査は22カ国を対象として行われた。25年の名目赤字が最も大きいのはボリビアで、23年と24年も首位を占めた。
 だが、同国はブラジルとは異なり、23年には10・9%、24年には10・4%と名目赤字を減少させている。3、4位はインドと中国で、共に、7・6%の赤字となる見込みだ。
 ブラジルの財政状況は、新興国全体の平均である対GDP比の5・7%を上回っている。中南米諸国では、メキシコ、チリ、コロンビア、ペルーが同期間中の名目赤字が4%以下となる見込み。いずれも改善傾向にある。
 BTGのエコノミスト、ファビオ・セラーノ氏は、ブラジルの債務コストが高い理由として、二つの主な要因を挙げている。一つは投資家によるリスク認識で、ブラジルの債務には課題が多いと見なされているという。もう一つは、拡張的な財政政策が需要を押し上げてインフレを引き起こし、それに伴って金利が高くなることだ。上院の公共財政監視機関である独立財政機関(IFI)は、債務は34年まで増加し続け、29年には対GDP比で99%に達すると予測している。
 同報告は、第3期ルーラ政権(23〜26年)の名目赤字の対GDP比は平均で8・2%に達するとの見通しも示している。この結果は、ボルソナロ政権(19〜22年)での一時的な減少後、再び赤字が増加することを示している。
 BTGの分析によれば、25年の財政リスクは依然として高いとされるが、24年の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の目標は、当初予想よりも強い経済成長と特別歳入が流入するおかげで達成される見込みだという。ただし、目標達成は、税務管理審議会(CARF)での決定票を使った税収や、株主資本利子(JCP)への所得税増加などの不確実な収入に依存していると指摘。また、社会保障や年金給付の見直し効果には疑問が残るが、政府が同分野で260億レアルを節約することができれば、支出上限は守れるとの予測が出ている。
 BTGは、支出見直しの主な障害は省庁間の調整にあると指摘しており、リオ・グランデ・ド・スル州への洪水後の支援や、予算外支出の増加などの財政枠組みに関しても懸念を示している。また、ルーラ政権が提出予定の所得税改革についても、議会が影響を弱めるリスクがあると警告している。政府は、所得税免除枠を5千レに引き上げ、その分を高所得者に対して10%の実効税率を課すことで補うことを計画している。
 セラーノ氏は、債務/GDP比率を安定させるためには基礎的財政収支がGDP比で2%の黒字である必要があると計算している。現在は0・5%の赤字で、財政調整と健全化には時間がかかると予測されている。


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