ブラジル経済に成長鈍化の兆し=リセッション懸念高まる

ブラジル経済は小売売上高や製造業の生産量などの経済指標が軒並み弱含みとなっており、成長ペースに陰りが見え始めた。一部の主要金融機関は、国内総生産(GDP)が2四半期連続で縮小するテクニカルリセッションへの懸念を表明しており、現実味のある見通しとされている。主因は経済基本金利(Selic)引き上げによる金融引き締めと財政刺激策の縮小で、短期的には記録的な穀物収穫が経済を下支えするが、その効果が薄れるとともに減速が顕著になる可能性が高いと、アナリストらは指摘している。
23日付エスタード紙(1)によると、金融アナリストらは、インフレ抑制のために金利が急速に引き上げられている中、テクニカルリセッションの可能性は完全に否定できないと考えている。実際、地理統計院(IBGE)のデータによれば、昨年11月の小売売上高とサービス提供量は予想以上に減少している。
さらに、昨年11月に国内で新たに創出された正規雇用の数は、エコノミストの予測を下回った。労働省が発表したデータによれば、11月の正規雇用数の純増は10万6600件で、2020年の統計開始以来、11月としては最低の数字となった。IBGEが発表したデータでは、製造業の生産量も、10、11月の2カ月間で0・8%減少している。
これらのデータから、潜在能力を超えて進んでいたブラジル経済の成長ペースが、限界に達した可能性があるとの見方がアナリストの間で広まっている。
経済の減速傾向は24年のGDPの最終結果にも少しずつ表れてくる見込みだが、今年第1四半期は記録的な穀物収穫(主に大豆)によって一時的にその傾向が覆い隠される可能性がある。だが、農業生産の影響が薄れるにつれ、高金利の影響が表面化し、過去2年間の成長を支えていた財政刺激策の消失が経済に影響を与えると予測されている。この結果、市場では今年中にテクニカルリセッションが発生する可能性が注目されている。
コンサルティング会社テンデンシアスのエコノミスト、チアゴ・シャビエル氏は、農業の好影響が終わると、金融政策の引き締めによる厳しい金融環境の影響が強まると述べている。また、財政均衡法(アルカボウソ)遵守のため、支出抑制が進み、財政刺激策が減少するとも指摘。同社では、第3四半期のGDPは前期比で0・6%、第4四半期には0・2%減少すると見込んでいる。
BV銀行も下半期はテクニカルリセッションに入る可能性が高いと予測。第3四半期に0・5%、その後の3カ月間に1%の減少を見込んでいる。ブラデスコ銀行経済調査部門は昨年12月に見通しを更新しており、2025年後半は2四半期連続で各々0・3%の減少が起こると予測している。
証券会社モンテ・ブラーヴォのチーフエコノミストのルシアノ・コスタ氏は、GDPは第2四半期に0・5%、第3四半期にも0・5%減少すると見込んでいる。同氏によると、「経済活動の低迷は金融引き締め政策の影響が信用に関連するセクターを中心に波及している結果」で、「同部門のGDPは年間を通じて影響を受けるだろう」と述べている。