ブラジル人不法入国者=手錠と鎖つけて強制送還=トランプ政権初の帰国便=米警察暴力、ルーラ「説明を」

24日、米国に違法滞在したとして米国から国外追放処分を受けたブラジル人らを乗せた飛行機がマナウスに到着した。その時、彼らが飛行機内で手錠や足に鎖をはめられた状況であったことや警察から身体的暴力を受けたことが憂慮され、ルーラ大統領が手錠や鎖を外すよう命じた。24日付、25日付G1サイト記事(1)(2)(3)(4)などが報じた。
トランプ新政権下では最初の飛行だが、今年2回目となる。この強制送還は、不法入国で逮捕された伯人の拘置所での滞在期間を短縮するために2018年に結ばれた二国間協定に基づく。
国外追放された強制帰国者を乗せた米国軍機は24日18時にマナウスに到着した。同機は当初、ミナス・ジェライス州ベロ・オリゾンテに直行する予定だったが、技術上の問題(故障)のため、マナウスに着陸することになった。外務省によると、国外追放されたのは158人で、内88人がブラジル人だという
米国機がマナウスに到着した際、連邦警察官や連邦政府を驚かせたのは、国外追放者たちが手錠をかけられ、足も鎖でつながれた状態だったことだ。これは米国当局側が施した措置で、連警から連絡を受けたリカルド・レヴァンドウスキー法相はルーラ大統領にも事情を報告。連邦政府は「ブラジル人の基本的人権を踏みにじる行為だ」として、全員の手錠と鎖を外させている。
その中の一人、サンドラ・ペレイラ・ダ・ソウザさん(36歳)は夫のアリスデテ・ゴンサルヴェス・ドス・サントスさん(49歳)と幼い子供2人と共に追放されたが、「退去のための話し合いをするのだろうと思ったらいきなり帰国させられた」と言い、生後間もない子供のおむつをとりに行く時間さえ与えられなかったという。「ルイジアナを出てからここまでは地獄だったわ」と彼女は語っている。
サンドラさんは3年半前に夫と違法入国したが、「それ以降はしっかり移民のガイダンスを守ってきた」と言う。二人は米国で会社を起こしていたが、家や車と会社を置いたままで追放された。
カルロス・ヴィニシウス・デ・ジェズスさん(29歳)は「腕と脚と腰を縛られたまま機に乗せられ、殴られた。監視者たちは飛行機を墜落させるぞ。お前たちの国の政府は無価値だとまで言った」と証言している。
他の乗客たちも監視者たちから暴力を受けたと証言し、「子どもと女性、子供同伴の親以外は全員殴られた」と語っている。その中でも、ある男性の背中には何かで殴られたような大きなみみずばれができており、腕や背中にできた内出血の跡の写真が拡散され、話題を呼んでいる。
乗客たちは手錠や鎖を外された後、毛布や食事、シャワーをあてがわれ、ルーラ大統領が派遣した伯軍機の到着を待つことになった。ブラジリアを発ったブラジル軍機がマナウスに到着したのは25日14時30分で、25日夜、ベロ・オリゾンテに到着した。
マカエー・エヴァリスト人権相は米国への違法入国者たちがこのような形で国外追放され、帰国したことに関し、「極めて深刻」として強い懸念を示した。連邦警察も飛行機内での暴力について捜査を行う意向で、ルーラ大統領も米国に説明を求める意向だ。
また、26日にはメキシコとコロンビアが国外追放された違法入国者の受け入れを拒否する声明を発表。米国のトランプ大統領はこれを受け、コロンビアに対する報復措置として25%の関税を課すことを決め、守らなければそれを50%に引き上げる上、コロンビア政権関係者のビザを許可しないとの声明を出した。これに対し、コロンビアのペトロ大統領は米国に25%の関税を課すとし、緊迫感が高まったが、26日には、コロンビアが全ての条件を飲んだとし、米国が制裁措置を解除した。コロンビアはその後、違法入国者を迎えに行くための航空機も派遣している。