PSDB=党消滅の危機に直面=PSDやMDBに吸収合併か=PTと競う二大政党時代も

カルドーゾ大統領を輩出し、サンパウロ州政府を州政府を28年間にわたって率いてきた政党、民主社会党(PSDB)が解散、もしくは他党との合併や吸収の危機にあると報じられ始めている。
「PSDBが消滅する」との一報は4日付フォーリャ紙(1)の記事から始まった。それによると、PSDBは社会民主党(PSD)か民主運動(MDB)のどちらかに吸収もしくは合併され、3月には確実に存続しなくなるという。
その報道によると、PSDBのマルコーニ・ペリーロ党首は既に、PSDのジルベルト・カサビ党首、MDBのテメル元大統領、バレイア・ロッシ党首、党重鎮のモレイラ・フランコ氏、エルデール・バルバーリョ氏、ロメロ・ジュッカ氏と会議を繰り返しているという。
現時点でのPSDBは下院に13人、上院は1人しか議席がなく、シダダニアとの党連立(フェデラソン)でようやく成り立っているところだ。党がPSDBとして存続していくには、さらにフェデラソンを増やしていく以外に方法がないが、それも現実味がなく、ペリーロ党首自身が「合併か吸収以外に道はない」と口にする状況に陥っている。
PSDBは1988年に元サンパウロ州知事のフランコ・モントロ氏や元サンパウロ市市長のマリオ・コーヴァス氏を中心に、PMDB(民主運動党)から独立する形で結党。1994年にはフェルナンド・エンリケ・カルドーゾ氏が大統領、コーヴァス氏がさサンパウロ州知事となり、国内を代表する政党となった。94年から2014年の大統領選はルーラ氏の労働者党(PT)と20年間にわたって1、2位を分け合い、「二大政党時代」の中道政党代表と目されていた。
だが、2016年に起きた、党首で大統領候補だったアエシオ・ネーヴェス氏の収賄スキャンダルで政党としての信用や支持を落とした。また、極右のジャイール・ボルソナロ氏の台頭で、PTのライバル政党としての人気も奪われる形となった。
その上、2018年の大統領選とサンパウロ州知事選では党の方針を巡る内部対立が起きて惨敗。それは、2022年の大統領選のための同党候補選出の内部選挙でさらに悪化。結局、大統領選では民政復帰後の選挙では初めて候補者が出せず、サンパウロ州知事選でも28年間続いた知事職を明け渡した。その後も離党者が相次ぎ、24年のサンパウロ市市長選の候補者選びを巡っても、内部分裂が起きていた。
10日に大サンパウロ市圏サントアンドレのパウロ・セーラ市長が州内約300人の市会議員たちを集め、党の将来について話し合う会合を行ったことも、事態が具体的に進んでいることを物語っている。だが、党内部では依然として、合併・吸収に反対している議員が多いという。(2)
一方のカサビPSD党首は、PSDBと合併して新党を作る案は既に却下しており、PSDと合流するならば、同党に吸収される以外の選択肢は無くなっている。(3)
他方、MDBのロッシ党首はCNNブラジルの取材に応じ、PSDBとの交渉を認めた。また、「これまでは軽めの話だったが、より深い話をしていかなくてはならない」と現状を説明している。(4)