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シジ容疑者=涙流して「全て失った」=事情聴取時の動画公開=前大統領弁護人は無効訴える

2025年2月22日

証言中のシジ容疑者(Reproducao)
証言中のシジ容疑者(Reproducao)

 20日、19日の内容公開許可に続き、昨年11月21日に最高裁のアレッシャンドレ・デ・モラエス判事自身がマウロ・シジ容疑者に対して行った事情聴取時の動画が公開された。この事情聴取は、シジ容疑者の司法取引を継続するか否かを決めるためのもので、シジ容疑者がボルソナロ前大統領などに関し、涙ながらに新たな事実を語っていたことが分かり、波紋を呼んでいる。

 この動画の中でのシジ氏は、連邦警察で行った司法取引に基づく供述に関し、「連邦警察やモラエス判事に言わされた」と発言した録音が漏れたことや、供述内容の矛盾などでモラエス判事らから詰問されている。司法取引の破棄や再逮捕も視野に入れられていると伝えられたシジ氏は、「感情的になってしまった。捜査されているのに何も失っていない金持ちもいるのに、私は全てを失った」と語った。(1)
 シジ氏はマスコミに関しても、「私の人生を転落させた。私の兄弟たちはもうこの国に住んでいない。彼らは娘の録音まで晒した」と言って号泣した。シジ氏の娘は、兵士と共に軍による介入について話している録音が漏洩されていた。(2)
 また、動画の公開と共に明らかになった証言も注目を集めた。同氏は、自身が2023年5月に逮捕されたきっかけとなった前大統領のワクチン記録改ざんに関して、「ボルソナロ氏から依頼されたものだ」と語った。(3)
 また、中東諸国からの時計や宝石などのプレゼントに関しても、「それを売ってみよう」と言い出したのはボルソナロ氏であることを明かした。シジ氏は相場を調べるように言われ、それに従ったという。以前から報じられていた、売上の一部の8600万ドルをボルソナロ氏に渡したことも改めて確認している。
 シジ氏の証言が裁判で証拠とされるためには、発言内容を全て物的に証明する必要がある。
 シジ氏は大統領選の結果を変えようとした条令の草案(ミヌタ)に関しても、「ボルソナロ氏はミヌタの存在を知っていたのか」との質問にうなずき、「自ら文章に手を加えているところも見た」と語った。
 シジ氏は、前大統領が22年12月14日に三軍総司令官にミヌタを見せた時のことも語った。それによると、その時、フレイレ・ゴメス陸軍総司令官(当時)はかなり苛立っており、「仮にクーデターを起こせば、20~30年間続く軍事政権の時代にもなりかねない」とボルソナロ氏に反論したと証言している。(4)
 話がモラエス判事に対する監視行動に及ぶと、シジ氏は「ボルソナロ氏が命じた」と答えたが、「いつ命じたのだ」と同判事が質問すると「2022年12月16日だった」と答えている。
 シジ氏の話はミシェレ前大統領夫人にも及んだ。それによると、ミシェレ氏は大統領官邸からの引越し作業の際、耐えられなくなってパニックに近い状態になり、「何かをしなくては」と、権力維持のための行動を行うことを側近たちに訴えていたという。
 シジ容疑者のこれらの証言を聞いたボルソナロ氏の弁護士セルソ・ヴィラルジ氏は「当然、司法取引の無効を訴える」と憤慨した様子で語っている。
 ミシェレ夫人はシジ氏の発言に関して訊かれ、「彼が精神的に混乱していた時の発言でしょう」として否定した。
 ボルソナロ氏は20日、ブラジリアで行われた自由党(PL)のイベントで講演した際、「ブラジリアではたくさんの指令が出ている。私がはっきり言えることは彼らはでっち上げで我々に対抗しようとしているということだ。彼らは今、クーデターとやらに血眼になっている」と語り、検察庁やシジ氏を皮肉った。(5)


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