PL=外交委員長に前大統領三男=PT議員「危機的状況作る」

自由党(PL)下院リーダーのソステネス・カヴァルカンテ下議は、外交や防衛に関する事項を取り扱う下院外交委員会(Creden)委員長にジャイール・ボルソナロ前大統領三男のエドゥアルド下議(PL)を指名することをPLが決めたことを明らかにし、「パスポートの有無にかかわらずだ」と強調した。労働者党(PT)は、エドゥアルド氏が米国の政治家を煽動し、ブラジルの最高裁(STF)や民主的な制度に対する攻撃を行わせたと主張しており、同氏のパスポート押収を求めている。一方、PLはこの委員会を利用して、STFやルーラ政権に対抗する意向を示していると、11日付のG1サイトなど(1)(2)(3)(4)が報じている。
下院最多の議席数を誇るPLは、指導権を握る二つの委員会の委員長を優先的に選定できるが、その中でも特に、Credenを重視する意向だ。PLがこの委員会を優先する背景には、PTとの対立とSTFとの摩擦があり、これを政治的な道具として活用しようとの思惑がうかがえる。PLは、この決定を覆すつもりはないと明言している。
委員会の指導権を巡る合意の取り決めを行っているのは、ウゴ・モッタ下院議長(共和者・RP)で、各党のリーダーたちと会合を重ねた上で、13日までに正式な指名を行う予定だ。
一方、PTの下院リーダーのリンドベルグ・ファリアス下議は、他党のリーダーやモッタ下院議長と交渉し、PLが別の人物をCredenの委員長に指名するよう調整を図っていると述べた。ファリアス氏は、エドゥアルド氏の指名がSTFとの対立を引き起こし、同委員会を利用してアレシャンドレ・デ・モラエス判事のイメージを損なわせる意図があることを懸念している。また、「エドゥアルド氏がCredenの委員長に就任するのは非常に深刻な問題であり、下院はこの国の主権に関わる危機的状況を作り出していることを理解すべきだ。立法府と司法府の間に緊張を生むことになる」と警告した。
さらに、「PLはモラエス判事を個人的に攻撃しようとしている。エドゥアルド氏は父親の裁判を控えているため、あらゆる手段を講じて政治的に有利な立場を得ようとするだろう。それは、下院の名誉や国の利益を損なうことになりかねない」とも語った。
下院政府リーダーのジョゼ・ギマランエス下議(PT)はこの問題に関し、「政府は委員会の構成には関与しない」とコメントしたが、政府系議員らは、エドゥアルド氏の指名を阻止するために、セントロン(中道右派)のリーダーたちの支持を得るべく積極的に調整を進めているという。
社会主義自由党(PSOL)の下院リーダーのタリリア・ペトローネ下議は、自身も調整に取り組んでおり、PLが同党内の別の人物を指名するよう、議員団との対話を進めていると明かし、
「エドゥアルド氏の人物像は適任とは言えない、というのが大半の議員の意見だ。PLがボルソナロ家以外の人物を指名するよう、我々は共同で取り組んでいる」と述べた。