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INSS=63億レ不正横領発覚=ルーラがトップ解任=実兄関連団体に捜査

2025年4月25日

アレッサンドロ・ステファヌット院長(Rafa Neddermeyer/Agencia Brasil)
アレッサンドロ・ステファヌット院長(Rafa Neddermeyer/Agencia Brasil)

 23日、連邦警察と連邦内部総合統制局(CGU)は国立社会保障院(INSS)内での詐欺事件に関する捜査を行った。捜査によると、INSSの職員らは2019年から2024年にかけて、退職者や年金受給者への給付金から不当な月額料金を割り引いて請求し、63億レアルもの金を不正に受け取り、着服していたという。これを受け、ルーラ大統領はINSSのアレッサンドロ・ステファヌット院長を即刻解任した。

 23日の捜査は連警とCGUが協力して行われ、211件の家宅捜査・押収令状が出た。捜査は13州と連邦直轄区の34市に及び、現金10億レアルと高級車、宝石、美術品などを押収。INSS職員ら6人の一時拘束も命じられた。
 この捜査と並行する形で、ルーラ大統領はINSSのステファヌット院長の解任処分を行った。さらにINSS内の5人の理事も同時に解任されている。(1)(2)
 ステファヌット氏は2023年7月に社会福祉相のカルロス・ルピ氏の指名で院長に就任した。同氏はブラジル社会党(PSB)所属だったが、今年、ルピ氏が党首を務める民主労働党(PDT)に移籍していた。(3)(4)
 INSSでの不正捜査は2023年に始まったものだ。CGUのヴィニシウス・マルケス・デ・カルヴァーリョ長官によると、23年初頭に就任した時からINSSの異常に気がついており、ルーラ大統領にはその頃から疑惑があると伝えてあったという。「大統領からはしっかり調べるように言われていた」と同長官は語っている。(5)(6)
 CGUは国立会計検査院(TCU)と共に守秘事項としてINSSの捜査を進めていたが、こうした不正はボルソナロ政権初年の19年から始まっていたことや、19~24年にかけて63億レアルの金が不正に動いていたことを突き止めたという。
 この金は、退職者や年金受給者の受け取る金から割り引く必要のない、または割り引いてはならない金額を毎月差し引き、支出額を減らしていたという。 CGUは約1300人の受給者にこの割引制度について聞いたことがあるかと尋ねたが、97・6%の人たちは「そんな話は聞いていない」と答えたという。
 連邦警察によると、ステファヌット院長はこの問題について「内部で厳しく対処していきたい」と語っていたというが、実際には、具体的な内部捜査も不正に関する告発も一切行われていなかったという。(7)
 それどころか、ステファヌット院長はマスコミや監督機関から批判の声が出ていたにも関わらず、自ら年金や退職金の割引制度の適用に動いていたという。
 今回の捜査では、INSSの不正割引を実施していたとして、11団体が捜査対象となった。その中にはルーラ大統領の実兄のフレイ・シコ氏が副会長を務める高齢者年金生活者全国組合(Sindnapi)も含まれていた。(8)
 この捜査が行われた23日、ルーラ大統領はリカルド・レヴァンドウスキー法相やルピ福祉相、カルヴァーリョCGU長官、アンドレイ・ロドリゲス連警長官、シドニオ・パルメイラ社会通信局長官らと緊急対策会議を行っている。(9)


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