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農村紛争が各地で増加=土地占拠等の攻防激化

2025年4月25日

ネガ・パタショ事件で負傷した女性とそれを見舞う連邦政府の閣僚達(Leo Otero/ MPI)
ネガ・パタショ事件で負傷した女性とそれを見舞う連邦政府の閣僚達(Leo Otero/ MPI)
パラー州の土地を占拠したMSTのメンバー達(© Assessoria MST-PA)
パラー州の土地を占拠したMSTのメンバー達(© Assessoria MST-PA)

 ブラジル全国司教会議(CNBB)傘下の土地司牧委員会(CPT)が、24年は土地紛争と水紛争が23年より増えたと発表したと23日付アジェンシア・ブラジルなど(1)(2)(3)(4)が報じた。
 CPTはCNBBが1975年に設立した組織で、農村労働者と土地を持たない人々のために活動する人達を結び付け、助言を与え、活気づけることで、農村労働者の権利の擁護と農業正義の促進を目的としている。
 CPTが23日に発表した年次報告書によると、土地紛争は1724件から1768件に、水紛争は225件から266件に増えた。唯一減少したのは、時代に逆行する奴隷労働を扱う労働紛争で、24年は151件と報告されたが、CPTは報告が漏れている事例もあることを認めている。
 土地紛争の内、1624件は立ち退きや追放、それに伴う脅迫、家屋や農場、所有物の破壊、武装勢力による土地の強奪、侵略その他の土地の占拠や所有に対する暴力行為で、マラニョン州では全体の21・6%にあたる363件が発生。以下、パラー234件、バイア135件、ロライマ119件、アマゾナス117件、マット・グロッソ102件、マット・グロッソ・ド・スル93件、アクレ49件、ゴイアス49件、トカンチンス46件と続く。それ以外の土地紛争は、抵抗行動88件だという。
 24年は農薬汚染の発生件数が276件に急増したのも目立つ。15~24年の農薬汚染発生件数は年平均24・3件だった。こちらも、83・5%にあたる228件のマラニョン州がトップだった。
 土地紛争の中での火災は、91件から194件に113%増加し、違法な森林伐採は150件から209件に39%増えた。CPTによると、火災や違法伐採が多発したのは法定アマゾンで、火災の25%はマット・グロッソ州、植生喪失の20%はパラー州で発生している。
 土地紛争における暴力の被害者は、先住民族29%、不法占拠者25%、黒人奴隷の子孫のコミュニティ住民(キロンボラ)13%、土地なし農民運動(MST)のメンバー11%で、加害者は、農場主44%、実業家15%、連邦政府8%だった。農場主は火災の47%、違法伐採の38%の責任も負っている。
 土地や水、労働の三つの紛争の総数は2250件から2185件に減ったが、これらの紛争の影響を受けた人は90・4万人で、前年の79・2万人から急増した。24年は死者も13人出ている。
 報告書が特記していうのは、侵入ゼロ運動と名乗る農村主義団体だ。この団体は大規模農家や地主で構成され、アグリビジネスとつながりがある連邦議員の支援を受けている。また、民兵や民間警備会社、警察の支援を受け、キャンプで暮らす家族や占拠、土地の差し押さえなどに対する暴力行為で知られている。
 侵入ゼロ運動の代表例は昨年初頭に起きたネガ・パタショ事件で、昨年の農村での暴力を助長する主要因の一つとして際立っている。同グループによる暴力的な攻撃の報告が多い州はゴイアス、マラニョン、バイア、エスピリトサント、パラナ、パラー、ペルナンブコだが、他州でも農民グループによる組織的な攻撃が起きている。
 このグループは農村紛争に直接関わっているだけでなく、立法府でも影響力を持ち、先住民やキロンボラなどの伝統的コミュニティや社会運動による土地占拠や土地収奪を犯罪化する法案を推進しているが、CPTは、農地改革こそが地方における暴力を削減、根絶するための最も効果的な方法だと力説している。


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