site.title

下院=恩赦法は緊急審議から除外=セントロン政党らが寝返り=前大統領恩恵なしの代案へ

2025年4月26日

モッタ議長(Jose Cruz/Agencia Brasil)
モッタ議長(Jose Cruz/Agencia Brasil)

 下院は24日、23年1月8日の三権中枢施設襲撃事件に関与した人物に対する恩赦法は下院の緊急議題には入れないことを決めた。中道勢力のセントロン政党がボルソナロ前大統領らに恩恵を与えない別法案を支持することに鞍替えしたためだ。同日付G1サイト(1)などが報じている。

 ウゴ・モッタ下院議長(共和者・RP)は24日、「400人以上の下議が所属する政党のリーダーたちは、恩赦法を来週の審議の議題には選ばないことに決めた。これは、恩赦法に関して、より良い解決策を模索するための対話を止めるという意味ではない」と発表した。
 この背景には、モッタ議長が23日夜に開いた下院の政党リーダーたちとの会合での根回しがある。同議長はそこで、恩赦法を優先議題とはせず、他の議題を優先すること、現在出ている恩赦法案を骨抜きにすることで同意を取り付けた。恩赦法を提案した自由党(PL)はこの会議には呼ばれなかった。(2)
 この結果、恩赦法を支持する政党は下議92人のPLと下議5人のノーヴォの2党だけになった。PLは恩赦法の緊急審議を求める署名を過半数(257人)を超える264人分集めたとして、緊急審議にかけるよう迫っていたが、この決定により、審議が前進する見込みはなくなっている。
 これには、社会民主党(PSD)やRPといった、セントロンの中核をなす大型政党が手を引いた影響が大きい。
 そこに、連邦政府に3人の閣僚を出しているウニオンが、辞任したジュセリーノ・フィーリョ氏に代わる通信相を選ぶ際、党内の事情で当初見込まれていたペドロ・ルーカス氏を拒否せざるをえなくなったことが加わった。これで連邦政府を不快にさせてしまったことで、ウニオン側が譲歩せざるを得なくなり、同党の姿勢が「連邦政府を助ける」という方向に変わってしまった。同党の下議は、半数以上が恩赦法の緊急審議支持との署名を行っていた。(3)
 さらに、中道右派のポデモスも恩赦法支持を取り下げている。同党はボルソナロ派も多いことで知られているが、恩赦法に党として反対の立場を表明していた民主社会党(PSDB)との合併問題が影響したようだ。
 モッタ議長やセントロン政党のリーダーたちは、恩赦法に代わる代替案を模索する方向で動いている。代替案では、恩赦の対象者を建造物や器物を損壊した襲撃参加者に限り、襲撃の画策者や資金提供者らには適用しない、従来のテロリズムに関するブラジルの法律に従ったものになる見込みだ。そうすれば、ボルソナロ前大統領をはじめとした、クーデター計画疑惑で被告となった人たちには適用されないことになる。(4)
 PLはこの決定を受け、恩赦法を緊急議題に選ぶまで下院の審議を妨害するなどの行動に出ることを示唆している。だが、恩赦法の内容の見直しに関しては、ボルソナロ前大統領が腸閉塞での入院前にモッタ議長と掛け合った際に既に言われていたことでもあり、代替案の審議でボルソナロ氏にも恩恵が及ぶよう探っていくやり方にシフトする可能性もある。(5)


コーロル元大統領=逮捕後、刑務所の独房に=LJ作戦の抗告却下受け前の記事 コーロル元大統領=逮捕後、刑務所の独房に=LJ作戦の抗告却下受け「アイム・スティル・ヒア」にさらなる映画賞次の記事「アイム・スティル・ヒア」にさらなる映画賞
Loading...