今世紀中に水没する海岸も=気候変動で海面上昇に警告

昨年来、気候変動による海面上昇で海岸部の市は浸水被害などが増え、消滅する可能性もあるという報道が続いているが、4月はそれがより頻繁になった。
27日付テラ・ブラジル・ノチシアス(1)は気候変動に伴う海面上昇で直接的な影響を受けている地域として、リオ市やリオ州北部海岸のサンジョアン・ダ・バラ市アタフォナ区の名前を挙げた。同サイトは、これらの地域では高潮や洪水の頻度が増し、インフラや住民の安全の双方が脅かされていると指摘。効果的な対策を講じなければ、今後数十年間で影響が拡大し、経済的、社会的安定が損なわれる可能性があるとも記している。
また、リオ市やアタフォナなどの地域では1990~2020年に海面が大幅に上昇しており、2050年には現状がさらに悪化するとの国連の報告も掲載。この現状は、温室効果ガス排出で起きる極地の氷床融解と地球温暖化によって引き起こされているとも明記している。
海面上昇は化石燃料燃焼などの人間の活動の直接的な影響の一つで、温室効果ガス排出量の早急な削減と、気候変動を食い止める努力の必要性を示している。
気候変動や海面上昇は経済的・社会的な影響ももたらす。昨年起きたリオ・グランデ・ド・スル州の大水害のような風水害や高潮の頻発化もその一例で、リオ・グランデ・ド・スル州では1年後の現在も復旧努力が続いているし、リオ州は今年も集中豪雨の被害を受けた。また、淡水源への塩水侵入は多くの地域社会にとって不可欠な農業や漁業にも悪影響をもたらす。
地球温暖化で極端な海面上昇が頻繁に起これば、経済的な被害も増すため、被害を最小限に抑えるためのインフラや適応戦略への投資が必要となる。海面上昇がもたらす課題に対処するには、再生可能なエネルギー源の利用を増やし、温室効果ガスの排出を抑える、極端な気象現象に耐えられるような強靭なインフラを開発する、洪水に対する自然障壁ともなるマングローブなどの自然生態系を保護し、回復する、リスクや必要な適応戦略に関する教育を行って意識を高める。水資源の効率的な管理を促進する持続可能な公共政策実施などの戦略的な対策をとることが重要だ。
26日付ジアリオ・リトラル(2)は、海面上昇の影響が出ている市として、ペルナンブコ州レシフェやセアラー州フォルタレーザ、サンパウロ州サントスといった名前を掲載。これらの市では2100年までに海岸に近い市街地が頻繁な洪水に見舞われ、何百万人もの人がインフラや経済、治安といった面で脅かされるようになると警告している。
同サイトでは、長期的な安定と静けさを求めるならば、サンジョゼ・ドス・カンポスその他のより内陸の高地に場所を探すことが解決策になる可能性があるとも報じている。
7日付ガゼッタ(3)も、温室効果ガス排出による地球温暖化で海面が上昇し、消滅し得る市として、リオ・グランデ・ド・スル州のポルト・アレグレとペロタス、リオ州のゴヴェルナドール島やカンポス・エリゼオス、ドゥッキ・デ・カシアス、カンポス・ドス・ゴイタカゼス、カーボ・フリオを含む海岸市を掲載。パラー州でもマラジョ島の延長の大部分とベレン、ブラガンサ市の一部、アマパー州ではピラトゥバ湖生物保護区、マラカ島、オイアポケ市、マカパー市の一部、マラニョン州ではレンソイス・マラニャンセス国立公園やサンタナ島、カラパタル島を含むサンルイスの海岸地域など。サンパウロ州ではペルイベやサントスを含む海岸部、サンタカタリーナ州でもフロリアノポリスやカンボリウといった市が巻き込まれるとしている。
ブラジルは海岸線が長く、観光名所となっている海岸も多いが、それらの海岸も、海面上昇の影響を受ける可能性は避けられない。(4)
一連の研究は国連やNASA、国内外の大学など、複数の機関が行っている。