予防接種=米州大陸で麻疹の接種=黄熱病患者はブラジルに集中

米州大陸では26日~5月3日を麻疹(はしか)の予防接種週間とし、6670万人への接種を目指していると28日付アジェンシア・ブラジル(1)が報じた。
これは、米国・カナダ・メキシコでの麻疹患者が24年の215人の10倍以上となる2600人超に達し、死者も3人出ているためだ。
24年に市中感染の麻疹撲滅の証明書再発行を受けたブラジルは、感染地確認中の軽症患者が1人出ているだけだ(2)が、保健省では、市中感染再発を防ぐため、幼少時に予防接種を受けていない人や受けたか否かがわからない人は、麻疹とおたふく風邪、風疹の三種混合の接種を受けるよう、呼びかけている。
他方、世界的な流行が報告され、米州でも既に昨年の年間患者数を上回る189人の患者発生が報告されている黄熱病は、ブラジルに患者が集中。現在までの患者数は過半数の102人で、死者も41人出ている。
汎米保健機関(Opas)は今年、2030年までに30の疾患の根絶を目指すことを決め、「あなたの決断が違いを生む」と題するキャンペーンを開始。30の疾患には葉鹿、黄熱業、B型肝炎、細菌性髄膜炎、子宮頸がんなど、ワクチン接種で予防可能な病気が11含まれている。
オズワルド・クルス財団(Fiocruz)シニア科学顧問のアキラ・ホンマ氏は、「感染源に国境はない」として各国間の協調行動の重要性を強調すると共に、自国の接種率が高ければ、周辺国で流行状態が発生しても、病気が蔓延し、アウトブレイクや流行が起きるのを防げると述べている。
ワクチンの接種率向上と回復には虚報に対抗するなどの対策も必要だ。同財団研究員で、21~23年にホンマ氏と共にワクチン接種率回復プロジェクトを実施したルルジニャ・マイア氏は、ワクチンの有効性について語るだけでなく、その情報を国民に伝える必要があると強調すると共に、ワクチン接種のためのセンターへのアクセス確保の必要性についても語っている。