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INSS不正疑惑=29団体で会員に違法割引=北東部等600万人が被害に

2025年5月3日

INSS(© Rafa Neddermeyer/Agência Brasil)
INSS(© Rafa Neddermeyer/Agência Brasil)

 【既報関連】連邦警察と連邦内部総合統制局(CGU)が4月23日に行った「割引なし(SEM DESCONTO)作戦」で摘発され、国立社会保障院(INSS)を巡る不正疑惑に関与していたことが疑われている29団体は、年金や恩給から不正な割引を行うため、急激に会員を増やしていたことが明らかになった。(1)(2)
 CGUが1日に発表した報告書によると、29団体では、月20日1日8時間働いたという条件で換算し、1時間に778~1569人の会員(退職者や年金受給者)登録を行っていたという。
 これらの団体はINSSと技術協力協定(ACT)を結び、退職者や年金受給者への給付金に毎月、割引を適用していたが、各団体を訪問調査した結果、本来は各受給者から割引を認める許可を得る必要があるのに、諸団体への認可が厳密に検証されていなかった上、会員資格や割引を認可する文書が偽造されていた可能性があることが判明した。
 これらの団体は、実際には組織化されていないのに、ジムの会員権や健康保険の割引などのサービスを提供し、正式な許可のない会員からも月額料金を差し引いていた。多くの場合、団体はINSS受給者の署名を偽造しており、29団体の内、70%は給付金の割引を行うための書類を完全には提出していなかった。
 また、割引を適用されていた退職者や年金受給者の多くは、自分が登録されている団体のことや登録されていたことを知らなかったという。(3)
 カルロス・ルピ社会保障相は4月29日、少なくとも600万人が何らかの月額料金を割り引かれていたが、許可もなく不当割引された人がどの位いるかは不明としている。(4)
 4月28日付G1サイト(5)によれば、被害最も集中していたのは、PTの大票田である北東部諸州の内陸部の都市だった。
 他方、割引額の多さと会員数急増は必ずしも新規会員の継続的な加入を意味しておらず、不法割引を一括適用していた可能性がある。これはまた、受給者に不利益をもたらす不正な許可をINSSが承認するリスクが高いことも明示している。報告書は、24年6月にシステム内の電子署名の検証について議論した際、INSSと社会保障技術情報会社(Dataprev)の代表者が、割引を認める電子署名の有効性は善意と協会や労働組合が享受する憲法上の自治権と公的信義の尊重に基づいており、組織のドメイン文書の有効性を確保できるかを評価する技術的能力はないと報告したことも記している。
 なお、INSSの内部監査では、諸団体による無許可割引は、割引差し止めを求める人が大挙することで職員の作業負荷が増大し、不正割引で苦情を唱える人達への対応その他のサービスが遅れ、経費も増大したことも判明。月間割引の解除やプロックの要請は23年1月~24年5月だけで190万件(INSSが受け付けた種々の要請の16・6%)あり、申請者の90%は割引を許可していないにも関わらず、割引のためにシステムに登録されたと訴えているという(6)
 割引に関する経費は諸団体が負担すべきものだが、Dataprevとの直接契約がなく、実際にはINSSが負担。同社がINSSに報告している運用コストは1件0・10レで、INSSでは運営費用で590万レの損失が生じた。
 なお、巷には、被害者には不正に割り引かれた額を返却するという噂が流れているが、INSSはまだ、具体的な対処法を確定できていない。安易に信じて返却手続きをすることで新たな詐欺被害に遭う人も出ているので、注意が必要だ。


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