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報道の自由度=ブラジル19位上げて63位に=経済的弱体化懸念深まる

2025年5月3日

2025年版報道の自由度ランキングの順位(2日付フォーリャ紙の記事の一部)
2025年版報道の自由度ランキングの順位(2日付フォーリャ紙の記事の一部)

 2日に発表された「2025年版報道の自由度ランキング」によると、ブラジルは昨年より19位上昇し、180カ国中63位となったと、同日付RFIなど(1)(2)(3)が報じている。日本は66位(前年70位)で順位を上げたが、ブラジルより低く、G7諸国の中では最下位だ。
 同ランキングは、5月3日の「世界報道自由デー」に合わせ、フランスの非政府団体「国境なき記者団(RSF)」が毎年発表している。近年は報道の自由を脅かす主な要因として、メディアの経済的弱体化が指摘されており、「広告収入がグローバルなテクノロジープラットフォームに流れ、視聴者の習慣が変化する中、新聞社は縮小し、編集の独立性が弱まっている」とRSFは述べている。
 ノルウェーは9年連続で首位を維持しており、2位エストニア、3位オランダと続いた。一方、最下位はアフリカ大陸北東部のエリトリアで、北朝鮮や中国をも下回った。
 ブラジルはボルソナロ前政権後、報道環境改善傾向が続いており、2022年比では47位上昇した。RSFは、「ルーラ政権がジャーナリズムに対する敵意を排除し、国家機関とメディアの関係を正常化させた」と指摘。報道機関に対する敵対的な雰囲気が薄れ、分析要素の一つである経済指標の改善を示した数少ない国としても注目されている。
 だが、ブラジル内には依然として構造的な課題が存在し、RSFは「ジャーナリストに対する暴力、メディア市場の民間資本の集中、そして偽情報の流布が、報道の自由を脅かす要因となっている」と警告している。
 米大陸においては、メディアの集中、公共情報サービスの脆弱性、劣悪な労働条件が、自由かつ独立したジャーナリズムの障害となっている。とりわけ、124位のメキシコは、ジャーナリストにとって同地域で最も危険な国とされ、順位を三つ下げた。
 また、米大陸で顕著な後退を示す国々では、政府による報道統制の強化や、メディアへの圧力が一因となっている。57位の米国では、トランプ氏の再任が報道の自由に深刻な影響を及ぼしており、87位のアルゼンチンは、ミレイ大統領がジャーナリストをスティグマ化(社会的に悪いイメージを与え、信用を傷つける行為)し、公共メディアを解体。さらには、政府の広告を政治的圧力の手段として利用しており、わずか2年間で47位下落した。また、130位のペルーでは、独立系メディアへの圧力が強まり、報道関係者は司法による嫌がらせを受けており、偽情報を伴う組織的なキャンペーンも確認されている。同国は22年以降、53位下落。135位のエルサルバドルは20年以降、ランキングを61位下げ、下降傾向を続けている。
 世界全体でも平均指数が低下し、RSFが過去10年間で初めて大きく後退したと警告。現在は、報道の自由が十分に保障されている国に住む人々は総人口のわずか0・7%に過ぎないとされる。
 RSFによると、報道の自由は「不透明または恣意的な財政条件によって損なわれている」。一例はハンガリー(68位)で、政府が政権に批判的なメディアに対し、国家広告の不均等な配分を通じて圧力を加えているという。上位に位置するフィンランド(5位)やオーストラリア(29位)でも、メディアの集中が「多様性への脅威」として注視されている。
 報道の自由が「非常に深刻」とされる国は、ヨルダン、香港、ウガンダ、エチオピア、ルワンダ、キルギス、カザフスタンを含む42カ国に上り、エリトリアは依然として最下位に位置している。


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