歌手のナナ・カイーミ死去=ドリヴァルと共に親子で成功

伝説的歌手、作詞家、作曲家のドリヴァル・カイーミの娘で自身も大御所歌手だったナナ・カイーミがリオ市で多臓器不全で死去した。84歳だった。1日付G1サイト(1)が報じている。
ナナは1941年4月29日、リオ市で生まれた。父ドリヴァルが、ハリウッド女優として大成功したブラジル人歌手のカルメン・ミランダの代表曲「オ・ケ・エ・ケ・オ・バイアーナ・テン」の作詞作曲を手掛け、成功を収めて間もない頃だった。
ナナは、まだ10代だった1960年に父ドリヴァルの曲「アカラント」を親子でデュエットして歌手デビューした。
1964年にはドリヴァルとボサノバの大家アントニオ・カルロス・ジョビンとの共作、「カイーミ・ヴィジッタ・トム」に兄弟たちと共に参加。このアルバムはブラジルだけでなく、米国でもヒットした。
1960年代前半はベネズエラ人男性と結婚し、同国に住んでいたが、離婚して帰国。60年代後半は文化運動のトロピカリズモ(トロピカリア)に参加。その中心人物のジルベルト・ジルとは1967〜69年に結婚生活を送った。
トロピカリズモの時代のナナは、国内でこそ、中心となったガル・コスタやマリア・ベターニアほどの人気を得られなかったが、南米の他の国で人気を獲得。次第にブラジルでも息の長い人気を得、「ナナ・カイーミ」(1975)、「レナッセール」(1976)、「ヴォズ・エ・スオール」(1983)、「ボレロ」などの代表アルバムを発表した。
70歳を超えた2010年代以降も精力的に活動を続け、2010年にはフランスの映画監督ジュルジュ・ガショーが彼女のドキュメンタリー「リオ・ソナタ」を制作。ラテン・グラミー賞にも3度ノミネートされる活躍を見せていたが、昨年、体調を崩してからは、入院生活を送っていた。(2)