site.title

INSS疑惑=ルピ社会保障相が辞任=後任にウォルネイ氏昇格=野党反発、PDT内にも不満

2025年5月6日

後任予定のウォルネイ氏(左)とルーラ大統領(Instagra)
後任予定のウォルネイ氏(左)とルーラ大統領(Instagra)

 国立社会保険院(INSS)の年金割引支払いスキャンダルを受け、カルロス・ルピ氏(民主労働党・PDT)が2日に社会保障相の辞任を発表。後任にルピ氏の右腕で社会保障省ナンバー2のウォルネイ・ケイロス氏(PDT)がルーラ大統領(労働者党・PT)によって指名された。だが、この人選に野党勢力が反発。さらに党首ルピ氏が退いたことで連邦政府とPDTの雲行きも危うくなっていると2日付UOLサイト(1)などが報じている。

 ルピ氏は2日、Xを通じて社会保障相辞任を申し出たことを明かした。同氏は「捜査のどこにも私の名前が出てくることはない」と、INSSスキャンダルでの身の潔白を主張しながら「今回の捜査は、社会保障のあらゆる分野や私自身、ルーラ政権の監督機関によって支持されてきたものだ。調査を通して責任者が特定され、地位を利用して労働者に危害を加えた人が厳正に処罰されることを願い、今後も注視していきたい」と語った。
 ルピ氏が社会保障相を追われた背景には、2023年の時点で、同氏の指揮する全国社会保障委員会でINSSの割引支払い疑惑に関して問題視する声が上がり、議題にするよう進言があったにもかかわらず、議題に選ばず対処が遅れたことがある。これにより結果として、関連29団体が疑惑に関与、63億レアルもの着服が起こる事態となった。
 これにより野党のみならず連邦政府内部でもルピ氏の解任を求める声が上がっていた。ルピ氏は、労働者党(PT)と長年協力関係を続けてきた左派政党PDTの党首であっただけに、ルーラ氏は「様子を見守りたい」としてルピ氏解任を躊躇していた。だが、ルピ氏の方から辞意を切り出した形だ。
 ルピ氏辞任により、ルーラ大統領は後任にウォルネイ・ケイロス氏(52歳)を指名、本人も「名誉なこと」と受諾した。ウォルネイ氏は90年代からPDTに所属し、ペルナンブッコ州の連邦下議を計5期務め、ボルソナロ前政権の頃は同党下院リーダーを務めていた。ルーラ第3期政権発足時からルピ氏の下で社会保障省のナンバ−2となっていた。(2)
 だがウォルネイ氏の就任をめぐって連邦議会の野党勢力から反発の声が上がっている。それはINSS疑惑を議題にするよう進言があった2023年7月の全国社会保障委員会の問題の会議に、ウォルネイ氏自身も参加していたが何も策を打たなかったためだ。(3)
 この件をめぐり、ダマレス・アルヴェス上議(自由党・PL)がウォルネイ氏の就任を阻止すべく動き始めている。
 下院でもコロネル・クリゾーストモ下議(PL)がINSS疑惑に関しての議会調査委員会(CPI)の開設を求め署名を募り、すでに申請に必要な171票の署名を集めているという。(4)
 一方のPDTも党首のルピ氏が社会保障相を降りたことで、党内の一部勢力が「今後は連邦政府にとって大事な政策に対し、党として100%の協力はしかねる」と不満を示している。
 同党から2期連続で大統領選に出馬しているシロ・ゴメス氏もルピ氏が辞任し、ウォルネイ氏が後任となったことに「情けない気持ちでいっぱいだ。言葉にできないくらいに憤っている」と発言。同氏は過去2度の大統領選でルーラ氏と敵対関係にあるが、これを機にさらなる悪化を招きそうだ。(5)


米国務省高官がブラジル訪問=対モラエス制裁論が再燃か前の記事 米国務省高官がブラジル訪問=対モラエス制裁論が再燃か初のブラジル人教皇誕生なるか?=アマゾンの枢機卿に世界が注目次の記事初のブラジル人教皇誕生なるか?=アマゾンの枢機卿に世界が注目
Loading...