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米国務省高官がブラジル訪問=対モラエス制裁論が再燃か

2025年5月6日

デイヴィッド・ギャンブル氏(Divulgação/ Departamento de Estado dos Estados Unidos)
デイヴィッド・ギャンブル氏(Divulgação/ Departamento de Estado dos Estados Unidos)

 米国政府は、国務省の暫定責任者デイヴィッド・ギャンブル氏を、5日からブラジルに派遣すると発表した。ギャンブル氏は、ブラジルにおいてテロや麻薬密売など国際犯罪組織に関する二国間協議に参加する予定で、冷却が指摘されるブラジルと米国の関係の今後に注目が集まっている。ブラジル最高裁のアレシャンドレ・デ・モラエス判事に対する制裁が議題に含まれるとの見方も一部で出ているが、現時点で正式な確認はされていないと同日付BBCブラジルなど(1)(2)が報じた。
 ギャンブル氏訪問は、トランプ大統領の再任後、米国務省高官としては初のブラジル入り。表向きの訪問目的は国際的な組織犯罪対策だが、ブラジル政府機関との公式会談の予定は確認されておらず、在ブラジル米国大使館も代表団の行程について公表していないため、不透明感が残る。
 特に注目されるのは、モラエス判事への制裁に関する議論が行われる可能性だ。モラエス判事は、ボルソナロ前大統領(自由党・PL)を巡る複数の訴訟を担当しており、1月8日三権中枢施設襲撃事件に関連する案件でも重要な役割を果たす。ボルソナロ前大統領の三男、エドゥアルド下院議員(PL)をはじめ、米国に拠点を置く一部の右派活動家らは、モラエス判事が保守系政治家に対する「司法的迫害」を行っていると非難し、米国政府に対し制裁を求めている。前大統領自身も、モラエス判事が米国財務省の外国資産管理局(OFAC)の制裁対象に該当すると主張している。
 この制裁論の背景には、2024年にトランプ大統領が率いるメディア企業「トランプ・メディア&テクノロジー・グループ(TMTG)」と、ブラジル内でモラエス判事の命令により一時的に遮断された動画配信プラットフォーム「ランブル」が、フロリダ州で共同提訴を行った件がある。訴訟では、モラエス判事に、米国内企業ランブルのコンテンツや収益化に関して法的権限があるのか否かが争点とされた。
 米国下院では共和党議員が主導する「外国検閲者対策法案(No Censors on Our Shores Act)」が提出されており、これは、米国憲法修正第1条で保障される言論の自由を侵害したと見なされる外国政府関係者に対し、米国への入国禁止や国外退去を可能にする内容だ。同法案は、モラエス判事への制裁要求と軌を一にする動きとして注目されている。
 一方、同日付のCNNブラジル(3)によれば、ギャンブル氏はブラジルに滞在中、前大統領や右派系主要議員らと面会し、モラエス判事のみならず、パウロ・ゴネ検事総長ら他の当局者についても、言論の自由の現状に関する意見を当事者から直接聴取する構えだという。PL下院リーダーのソステネス・カヴァルカンテ下議は、ギャンブル氏との非公開会合を模索しており、ブラジルの政治情勢について意見交換を行いたいと述べている。
 ギャンブル氏は米国外交官としての経歴を有し、現在は国際制裁に関する国務省戦略の暫定責任者を務めている。今回のブラジル訪問が今後の二国間関係にどのような影響を与えるのか注視されるところだ。


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