アルゼンチン大使館=米国がマドゥロ反対派救出=管理するブラジルに感謝なし

ベネズエラの首都カラカスにあるアルゼンチン大使館で保護されていたベネズエラ人亡命希望者が6日、米国務省主導の作戦により救出された。これを受け、アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領は同日、米国政府に感謝の意を表した。
一方で、ベネズエラ政府が昨年7月にアルゼンチン外交官に国外退去を命じて以降、約9カ月間にわたり同大使館の保護管理を担っていたブラジル政府については一切言及がなかった。ブラジルは同救出作戦の事前通知を受けておらず、作戦から除外されていたと7日付ヴェージャ誌など(1)(2)(3)が報じた。
今回救出されたのは、ベネズエラ野党指導者マリア・コリーナ・マチャド陣営に属するマガリ・メダ氏を含む5人。マドゥロ政権による政治的迫害を逃れアルゼンチン大使館に身を寄せていた。大使館がアルゼンチン政府の手を離れて以降も、その敷地内で事実上の庇護状態にあった。
アルゼンチン政府は声明で「長きにわたりアルゼンチンの保護下にあった5人のベネズエラ市民の安全と人権を守るため、尽力したすべての関係者に深く感謝する」と述べた。特にミレイ大統領は、マルコ・ルビオ米国務長官に対し、この作戦への個人的な関与と主導的な役割に謝意を示し、その尽力を高く評価。米国政府による救出作戦の成功を称賛した。
この声明を受けてルビオ長官は自身のXで、「マドゥロ政権によって人質として拘束されていたすべての人物が、慎重な作戦を経て無事に米国に到着した」と明かし、「ベネズエラの制度は違法な政権により破壊され、人権侵害が日常的に行われている」と非難した。作戦に参加した全関係者と「彼ら自由を実現するために協力してくれたすべてのパートナー」に謝意を示した。
マチャド氏もまたSNS上で同作戦を称賛し、「我々は今も拘束されている900人の政治犯と、自由を奪われた3千万人の国民全員を解放する」と決意を語った。
救出直前の大使館の状況は厳しさを増していた。ベネズエラ政府は敷地内への圧力を強め、電力や水道といったライフラインの供給を停止。以前は13日に一度、2千リットルの水を運んでいた給水車の立ち入りも禁止されるなど、孤立化が進んでいた。