アマゾン伐採4月に急増=政府が緊急対策を協議

ブラジル立宇宙研究所(Inpe)が8日に発表したデータによると、2024年8月以降、アマゾンにおける森林伐採は減少傾向を維持していたものの、4月には前年同月比で55%もの急増が観測されたことが明らかとなった。同日付オ・グローボ紙など(1)(2)が報じた。
この増加は、Inpeが運用する「デテル(Deter)」と呼ばれる衛星監視システムにより確認された。この状況を受け、9日に大統領府で、環境省など関係閣僚による緊急会合が開催され、アマゾン熱帯雨林の森林伐採を早期に察知して抑止する対策強化が協議された。
一方で、24年8月〜25年4月の期間全体で見れば、アマゾンにおける森林伐採は前年同期比で5%減少しており、16年以来最も良好な数値を記録した。Inpeによると、年次ベースの測定期間は例年8月1日〜翌年7月31日までと定められており、政府としては今後残された5〜7月の3カ月間でこの年間減少傾向を確かなものとする必要がある。
マリーナ・シルヴァ環境相は、今回の増加を受けて強い警戒感を抱いていると述べ、「当初は森林伐採の大幅な減少を達成したが、その後は更なる削減を積み重ねることが困難になっている。現在は減少傾向の中にある一定の安定期に達したとも言えるが、4月に見られた増加は深刻なシグナルだ。警戒レベルを最大に引き上げ、計画の各段階で必要な調整を随時行っている」と強調した。
今回の政府内協議には19省庁が参加し、今後2週間以内に予防および監視強化に向けた包括的な行動計画を立案、実行に移す予定。特に急激な増加が確認されたアマゾナス州、マット・グロッソ州、パラ州の3州においては、主要な森林伐採発生地点の地理的特定を進め、監視体制を一層強化する方針が示されている。
同省のジョアン・パウロ・カポビアンコ副大臣は、「この急増はこれまでの減少傾向が反転する兆しとも捉えられる。残された3カ月間で、日々のモニタリングを継続しつつ、必要に応じて公共政策の調整を行い、監視と取締体制の強化を図っていく」と述べた。