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IOF増税に議会反発=下院で廃案法案が続々=増収なしなら500億レ凍結

2025年5月29日

ハダジ財相(Valter Camargo/Agencia Brasil)
ハダジ財相(Valter Camargo/Agencia Brasil)

 22日に連邦政府の経済スタッフが発表した金融取引税(IOF)の増税が財界や連邦議会からの強い反感を受け続け、大きな火種となっている。IOFの増税は、フェルナンド・ハダジ財相の腹心だったガブリエル・ガリポロ中銀総裁が以前から反対していたものでもあった。26日付CNNブラジル(1)が報じている。

 IOFの増税は、財政均衡法を遵守するための313億レアルの支出凍結とともに発表されたが、発表直後から強い反感を招いていた。
 それは、IOFが本来なら規制税であり、税収増のために作られたものではないという一般認識があったからだ。ウゴ・モッタ下院議長は増税に対し、「これ以上新しい税金は必要ない」と即座に発言。下院内でも、「ただでさえ国民の家計が苦しいのに、これ以上税金を課すのか」との反感が強く、週明けまでに約20の反IOF増税法案が出ている。
 また、22日のIOF増税はガリポロ中銀総裁にとっても寝耳に水だった。同総裁はこの発表直後にルーラ大統領と連絡を取り、「国外投資にも増税が行われれば、投資が落ち込む恐れがある」と告げた。それが22日夜の大統領府での緊急会議につながり、「投資ファンドによる国外資産への投資」や「投資目的の送金」は急遽、増税の適用外とされた。
 ガリポロ氏はルーラ第3政権発足時に財務省ナンバー2に抜擢されており、ハダジ財相とは極めて近い間柄だが、IOFの増税には予てから反対の立場を示していた。同総裁は、IOF増税は昨年12月も議題に上がったが、その時も増税に反対したと語っている。それだけに、「今になってなぜ」との気持ちがあるという。(2)
 また、今回のIOF増税に関しては、政局調整の甘さも露呈されている。22日に行われた発表はシドネイ・パルメイラ長官が率いる大統領府社会通信局(SECOM)に情報が行き届かないうちに行われたものだったため、SECOM内部でも強い不満の声が出ているという。(3)
 ハダジ財相は、22日夜に部分修正され、IOFの課税対象外となった部分を補うべく、今週末までに代替案を提出することを約束した。ただ、IOF増税を完全に撤回する意向はなく、連邦政府としても「増税全体の廃案は不可能」と見ている。連邦政府の支持者の間では「投資の上昇幅が減っても、心配するほどではない」とする声もある。
  財務省が発表した支出凍結額は313億レアルだが、政府に新財源として約200億レアルをもたらすはずのIOF税収がなくなれば、凍結額は約500億レアルに達することになる。
 下院の労働党リーダーであるリンジベルギ・ファリアス氏は、「IOFを変えたいのであれば、代替の収入源が必要だ。それがなければ、具体的な結果として凍結額が200億レアル以上も増え、当然、議員割当金の凍結額も増加する。議会でこのような事態を望んでいる人は誰もいない。なぜなら、進行中のプロジェクトが麻痺してしまうからだ。これは各議員の選挙基盤に反映される。だからIOF廃案が承認される可能性はほぼゼロだ」との見方を語った。


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