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上院インフラ委員会=侮蔑発言で環境相が退席=環境ライセンス法案巡り

2025年5月29日

マリーナ・シルヴァ環境相(© Lula Marques/Agência Brasil)
マリーナ・シルヴァ環境相(© Lula Marques/Agência Brasil)

 【既報関連】国家主権や公の災害などによって実施が必要と判断された戦略的な活動や農業企業などに対する環境ライセンスの取得免除や簡素化、汚染の危険性が小・中程度の小規模または中規模の活動や企業を対象とする遵守とコミットメントのライセンス(LAC)などを定めた環境ライセンス基本法案の承認を阻むために奔走中のマリーナ・シルヴァ環境相が27日、赤道域の油田探査に関する上院インフラ委員会での公聴会で侮蔑され、会議を退席する事件が起きた。
 27日付ヴェジャ誌など(1)(2)(3)(4)(5)によると、環境相はこの日、ボルソナロ支持者のプリニオ・ヴァレリオ上議(民主社会党・PSDB)とマルコス・ロジェリオ上議(自由党・PL)らから侮蔑され、会議の途中で退席した。
 ヴァレリオ氏は以前の会議で「マリーナの首を絞めずに6時間10分間我慢することがどんなことか想像してみてほしい」と発言した上、今回の会議でも同相を侮辱。ロジェリオ氏は議長としてとりなすべき立場にありながら、環境相に「自分の立場をわきまえろ」と迫った。
 マリーナ氏や環境省関係者、環境活動家らは、上院が21日に承認し、下院審議に回された環境ライセンス基本法案は環境を破壊する「荒廃法案」と批判し、下院での承認を阻止するため、政局調整を行っている。
 マリーナ氏はこの日、オマル・アジズ上議(社会民主党・PSD、アマゾナス州)から、ブラジルの発展を妨げ、虚偽の環境データを提示したと非難され、憤慨。同上議は「議会は環境相の承認がなくても環境ライセンス法案を承認する」と述べ、法定アマゾン内を縦走する国道319号線の舗装工事に関しても議論した。
 他方、ロジェリオ氏は環境相の発言を阻止するために既に数回マイクを切っていたが、「その件は政府のスタッフで議論してくれ。ここでは議題に沿った議論を続ける」と発言。環境相は「ご心配なく。私達は幅広い戦線を持ち、あなたが気にもしなかった独裁政権にも立ち向かう政府だ」と答え、議事進行の在り方にも疑問を呈した。
 緊張が高まったのは、同相が「あなたは私が従順な女性であることを望んでいるようだが、私はそうではない」と語ったのに対し、ロジェリオ氏が「自分の立場をわきまえろ」と答えた時だ。
 周囲からの批判を浴びたロジェリオ氏は「政府の閣僚としての立場だ」との釈明で切り抜けようとしたが、環境相が反論。ここでヴァレリオ氏が発言を求め、「女性には敬意を表すべきだが、あなたには閣僚として尊敬する価値がない」と述べたため、場が紛糾。マリーナ氏が謝罪を求め、「環境相として招きながら閣僚として尊敬する価値がないと言うなら退席する。しかも、この暴力的発言はやはり招かれて参加した会合でも暴力的な発言を行った上議からのものだ」と語ったが、同上議が謝罪を拒んだため、環境相は退席した。
 マリーナ氏は事件後にインタビューを受け、大統領からも電話を受けたとした後、「誰も私を脅迫できなかった。誰も私の立場を指図することはできないだろう」と語り、声明も出した。(6)(7)
 女性省は事件後、インフラ委員会での上議らの行為を批判し、「今朝、上院インフラ委員会で環境相に起きた出来事は全く不条理だ。彼女は複数の議員から、女性として、大臣として軽蔑され、攻撃された。その一人は3月にも同相に対する暴力を扇動している」との声明を出した。グレイシー・ホフマン大統領府渉外室長官といった女性閣僚やジャンジャ大統領夫人も、相次いでマリーナ氏を擁護する発言を行った。(8)


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