寒波襲来=南部2州で初雪を観測=農作物等の寒さ対策を

27日にブラジルに到達した寒冷前線は、28日にリオ・グランデ・ド・スル州中央部のカセキ市カペラ・ド・サイカン地区での川の氾濫と住民の孤立化を招いた(1)上、サンパウロ州でも大風による被害を生じさせた(2)が、寒波の影響は29日も続き、同日未明はリオ・グランデ・ド・スル州やサンタカタリーナ州の山間部で雪やあられを観測したと28、29日付G1サイトなど(3)(4)(5)が報じた。

5月末は南極からの寒気団を伴う寒冷前線と温帯低気圧の影響で、複数の地域で大雨や氷雨が降る他、28~29日にはリオ・グランデ・ド・スル州山間部などで今年の初雪を見る可能性があると28日付テラサイト(6)も報じていた。寒冷前線や寒波の影響が広範囲に及ぶことは、28日付G1サイト(7)がリオ・グランデ・ド・スル州ポルト・アレグレ、サンタカタリーナ州フロリアノポリス、パラナ州クリチバ、サンパウロ市、マット・グロッソ・ド・スル州カンポ・グランデ、マット・グロッソ州クイアバ、ロンドニア州ポルト・ヴェーリョ、アクレ州リオ・ブランコの最低8州都で今年の最低気温を記録するとの予想を報じたことでも分かる。
29日の雪は、温帯低気圧が呼び込んだ海上からの湿気がリオ・グランデ・ド・スル州やサンタカタリーナ州の山間部に生じさせた雲と、南極からの強い寒気団の接近で生じた。
高度約5千メートルの雲の中で生じた氷の結晶が十分な重さになると雪となって地上に降り落ちるが、途中の暖気で融けた後に再び冷気にあたり、地上に落ちる前に凍ると、直径が5ミリ未満のあられやそれ以上の雹となる。雪の結晶が雨と共に降る場合はみぞれと呼ばれる。
また、氷の結晶が融け、雨として地表に落ちた瞬間に凍る凍雨はブラジルではまれだが、大気中や地表の湿度が高い時に急に気温が下がり、地表や植物の表面に氷の層ができる霜は割と頻繁に起きる。(8)(9)
29日に初雪を観測したのはリオ・グランデ・ド・スル州山間部のカンバラ・ド・スルやサンジョゼ・ドス・アウゼンテス、モンテ・アレグレ・ドス・カンポス、サンタカタリーナ州山間部のウルペマとサンジョアキン、ボン・ジャルジン・ダ・セラで、あられも降ったという。ウルペマでは8時現在もマイナス1・3度で全国最低気温を記録した。
29日付G1サイト(10)は、寒冷前線は雨や風をもたらすことが多いが、前線が洋上に抜ければ、寒気団を伴う高気圧に覆われるとの予報官の言葉と共に地域別の予報も掲載。
それによると、サンタカタリーナ州の西部と中南部、リオ・グランデ・ド・スル州の南部は不安定な状態が続き、リオ・グランデ・ド・スル州山間部では天気が荒れるが、サンタカタリーナ州北部やパラナ州の天気は安定しているという。また、リオ・グランデ・ド・スル州とサンタカタリーナ州の山間部では雪、リオ・グランデ・ド・スル州西部からパラナ州局西部では霜の可能性があるという。

また、リオ州やミナス州では29日夜の寒冷前線通過で強い雨などが起こり得るが、雨量は余り多くない(11)。前線通過後のサンパウロ州は29日に今年の最低気温を更新する可能性がある。
中西部の雨は前線通過で弱まり、気温が急に下がり得る。北部でも前線通過後の急激な気温低下が予想されているが、アマゾナス、ロライマ、アマパーの各州は天気が不安定で強い雨も降るという。
なお、今回の寒気襲来で最低気温を記録するのは30~31日となる可能性が強く、平年の平均気温を5度以上下回る地域もあるようだ。また、来週は次の寒波が来る見込みで、農作物への寒さ対策や路上生活者の避難所対策などを急ぐよう促されている。