IOF代替え財源に石油収入=ルーラが捻出、350億レ充当=土壇場で議会の要請に応える

連邦議会から強い反対を受けている金融取引税(IOF)増税に代わる増収案として、ルーラ大統領(労働者党・PT)とアレッシャンドレ・シルヴェイラ鉱山動力相(社会民主党・PSD)が350億レアルに上る石油関連の収入追加を検討している。2日付フォーリャ紙(1)が報じている。
5月22日にフェルナンド・ハダジ財相が財政支出目標を守る目的でIOFの3・5%増税を発表して以来、「規制税のはずの収入税を上げた」「国民はこれ以上の増税を望んでいない」との観点から、ウゴ・モッタ下院議長(共和者・RP)とダヴィ・アルコルンブレ上院議長(ウニオン)が強く反発。両議長はこれまでに前例のない大統領令廃案さえ示唆して代替案の提示を迫ったが、ハダジ財相は「代案はない」と抵抗していた。
両議長はルーラ大統領が公務でフランスに出立する前に代替案を提出することを求めており、大統領が2日、シルヴェイラ鉱山動力相と会合を開き、この件に関する解決策の提示を求めた。同相はこの日、リオ市のイベントで講演を行う予定だったが、ピエトロ・メンデス石油ガス局長にその役を譲り、ルーラ氏との会合に応じた。
シルヴェイラ氏はそこで、トゥピ、メロ、アタプの各盆地からの未契約原油売却で150億レアル、6月に予定されている石油利権地域の入札で1億5千万レアルなど、すでに予想あるいは発表されている収入を含む一連のリストを提示した。
連邦政府も、国家原油庁(ANP)によるジュバルテ油田の生産個別化協定締結で20億レアル、利権料(ロイヤルティ)算出のための基準原油価格見直しを7月末までに行うことで10億レアル、プレサル(岩層下)のサピノア油田の権益見直しで1億レアル、連邦政府自身も石油生産に特別参加することに関する法令改正を6月末までに締結することで40億レアル(州や市と折半)などで歳入増を算段している。
連邦政府は先週、原油売却に関する法案を議会に提出済みで、入札その他で見込まれる収入約200億レアルを7月22日に発表する2カ月毎の歳入歳出評価に盛り込む予定だ。この200億レアルを評価に盛り込むことは、財政目標達成に向けた状況緩和のために不可欠だ。年間目標の達成が困難と判断されると連邦政府は予算凍結などの措置を強化する必要があるが、歳入が増せば凍結解除が可能となるからだ。
連邦政府は2026年にも150億レアルの歳入追加を見込んでいる。シルヴェイラ鉱山動力相によると、国営石油企業のPPSAによる連邦政府からの石油販売での歳入増が170億レアルから250億レアルに増える見通しである上に、トゥピ油田からの採掘への特別参加に関する条令見直しで90億レアル(その半分は連邦政府に分配)の増収が見込まれているという。
また、2026年のリストには、ANPによる基準原油価格見直し承認による30億レアル(半分が連邦政府に支払われる)と、カンポス、サントス、エスピリトサント、ペロタスの各油田の新たな探査区域入札のための環境省と鉱山動力省による共同声明調印での10億レアルも含まれている。