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世界大学ランキング=ブラジルでは87%が順位落とす=投資不足と研究成果低下で

2025年6月4日

中南米地域で最高位にランクインしたサンパウロ総合大学(Foto: Divulgação/USP)
中南米地域で最高位にランクインしたサンパウロ総合大学(Foto: Divulgação/USP)

 世界大学ランキングセンター(CWUR)が2日に発表した「世界大学ランキング2025」で、ブラジルの大学の87%が順位を下げたことが明らかとなった。政府による投資の停滞とそれに伴う学術的な研究成果の低下が主因とみられると同日付フォーリャ紙など(1)(2)が報じた。
 CWURは、「教育の質」「卒業生の雇用可能性」「教員の質」「研究実績」の四つの指標に基づいて世界中の大学を評価している。本年は94カ国の2万1462校が評価を受け、上位2千校が「グローバル2千」として公表された。
 ブラジルからは53の大学がランクインしたが、このうち46校が前年より順位を下げた。
 中南米地域において首位を維持したサンパウロ総合大学(USP)も、117位から118位へと順位を一つ下げた。CWURの分析によれば、USPは四つの指標全てでスコアを落としており、総合的な評価に影響が出たという。
 中南米地域では、メキシコ国立自治大学(282位)、リオ・デ・ジャネイロ連邦大学(UFRJ、331位)、カンピーナス州立大学(Unicamp、369位)が続いた。
 CWURのナディム・マハッセン所長は、「ブラジルは53の大学がランキング入りしており、世界における一定の存在感を示している」と評価する一方で、「研究力低下と政府の財政支援不足により、多くの高等教育機関が順位を落としていることは極めて憂慮すべき」と指摘。さらに、「多くの国が教育・科学振興を国家戦略の最優先事項とする中、ブラジルは取り残されている。強力な資金援助と戦略的計画がなければ、学術環境でさらに後退する恐れがある」と警鐘を鳴らしている。
 一方で、今回のランキングで順位を上げた国内大学も存在する。UFRJが401位から331位にと大きく順位を伸ばした他、Unicamp(370位→369位)、ブラジリア大学(836位→833位)、マットグロッソ・ド・スル連邦大学(1396位→1367位)、パラナ連邦技術大学(1465位→1455位)、リオ・グランデ連邦大学(1677位→1644位)、トリアングロミネイロ連邦大学(1868位→1836位)の7校が上昇した。
 なお、2025年版ランキングの世界1位には米国のハーバード大学が14年連続で選ばれた。2位、3位は同じく米国のマサチューセッツ工科大学とスタンフォード大学で、4位、5位には英国のケンブリッジ大学とオックスフォード大学が続いた。
 東京大学は前年と同じ13位でアジア圏のトップ、京都大学は2ランク上昇し24位で続いた。
 今回の上位2千校のランキングには中国から346校が入り、初めて最多を記録。米国の319校を上回った。マハッセン氏は、「中国の大学は長年にわたる政府の積極的な財政支援で成果を上げているが、米国の大学は連邦予算の削減や学問の自由を巡る議論に直面している。中国の台頭は、米国の高等教育機関が国際的な地位を脅かされていることを如実に示している」との見解を示した。


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