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ザンベッリ下議=下院での逮捕撤回難しく=法的問題と孤立状態により=滞在先は米国が有力に

2025年6月6日

ザンベッリ下議(Lula Marques/Agencia Brasil)
ザンベッリ下議(Lula Marques/Agencia Brasil)

 最高裁での裁判で実刑判決を受けた後に国外に出たことを受けたカルラ・ザンベッリ下議(自由党・PL)に対する逮捕命令に対し、一部議員から有効性を疑問視する声が出ている。だが、法的手続きや下院でのザンベッリ氏孤立で、議会による逮捕撤回は難しい状況となっている。また、ザンベッリ氏の滞在先は米国になりそうだと4日付フォーリャ紙(1)が報じている。

 下院野党リーダーのズッコ下議(PL)は4日、ウゴ・モッタ下院議長(共和者・RP)に対し、ザンベッリ氏への逮捕命令は「政治的、権威的な迫害行動だ」とし、早急に立場を表明するように促すと共に、下院本会議での緊急審議を訴えた。
 同氏の他にも、SNSのインフルエンサーでもあるニコラス・フェレイラ下議(PL)やPL下院リーダーのカヴァルカンテ・ソステネス下議が同様の意見を表明している。
 憲法では、連邦議員が被告になる、逮捕状が出される、あるいは逮捕された場合、全体審議でそれを差し止めることができると規定されている。だが、ザンベッリ下議の場合、問題が二つある。
 一つは、連邦議会が議員の逮捕を差し止められるのは「現行犯逮捕」の場合に限られることだ。現在服役中のダニエル・シルヴェイラ下議(当時)が2021年2月に逮捕された際、下院での審議にかけられたのは、同氏が現行犯逮捕されたためで、結果は逮捕継続となった。
 だが、今回のザンベッリ氏の場合、現行犯逮捕ではなく、予備拘禁のため、憲法の適用外となる。ジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)のラケル・サルコーニ教授は、「予備拘禁の有効性に関する規則はない」とし、「(取り消したい場合は)逮捕の前に動くべきだった」との見解を述べている。
 クーデター計画疑惑で3月に被告となったアレッシャンドレ・ラマジェン下議(PL)の場合、被告となるのを取り消すための審議が行われている。
 また、リオ州立大学のヴァレセ・デ・アルメイダ・コルボ教授は、「審議するべきなのは逮捕命令でなく、国家法務審議会(CNJ)のコンピューターにハッキングを命じたとされるザンベッリ氏の行為だ」とし、「10年もの実刑を短縮するほどの権限が議会にないことの壁にも直面するだろう」と語っている。
 ザンベッリ氏の場合、下院での最大勢力のセントロンの支持がない上に、所属のPLでも支持しているのは一部の極右派のみという現状も壁になる。今回の逮捕命令に関しても、PLの下議の大半は沈黙。ボルソナロ前大統領も発言を避けている。
 ザンベッリ氏は当初、国籍を所有しているイタリアに向かおうとしていたが、同国の議員たちが彼女の入国を拒否し、身柄引き渡しを求める動きを起こしているため、身柄の引き渡しに難色を示している米国で滞在を継続することが有力視されている。(2)(3)
 アレッシャンドレ・デ・モラエス判事が4日に逮捕命令に付随して出した命令も強度を増している。当初は口座や給与の差し押さえだけだったが、ザンベッリ氏が罰金支払いなどのためのカンパを募った後、約28万5千レアルが集まったから貯蓄預金(ポウパンサ)に入れたと5月21日に報告したことを受け、中銀に対し、過去30日以内にザンベッリ氏がPixで受け取った現金の詳細を調べるようにとの命令も出されている。


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