site.title

ブラジル外務省=米軍の核施設攻撃抗議=戦争拡大に重大な懸念=BRICS会議で議論か

2025年7月10日

ブラジル外務省
ブラジル外務省

 米軍が21日にイランの核施設を爆撃したことに関し、ブラジル外務省は22日、「国際法に反する行為」として米国、さらにイスラエルに対して批判的な声明を行った。23日18時時点でルーラ大統領は、この件に関して直接に発言していないが、外務省声明の投稿はシェアした。また、イラン側の報復策により、石油をはじめとした、ブラジルを含む今後の世界への影響も懸念される。22日付メトレポレス(1)などが報じている。

 米国は21日、イラン国内にある3カ所の核施設への爆撃を行い、13日から続いていたイランとイスラエルとの紛争への介入を試みた。
 この件に関し、ブラジル外務省は22日、「(イランに先制攻撃を行った)イスラエルと、イランの主権、国際法に違反する核施設への米国による先日の軍事攻撃を非難する」との声明を発表。非難という言葉には「コン・ヴェエメンシア(強く)」という言葉が添えられていた。
 外務省は核施設が攻撃されたことを特に問題視し、「核施設に対する武力行使はいかなるものも、国連憲章および国際原子力機関(IAEA)の規則に対する明らかな違反行為」「民間人の生命や健康に対する深刻な脅威であり、多くの住民が放射能汚染や大規模な環境災害の危機にさらされる危険性がある」とした。
 外務省は、ブラジル政府が原子力エネルギーの平和利用のみを支持してきたという歴史的立場を改めて表明し、「中東などの地政学的に不安定な地域においては特に、いかなる形態の核拡散も強く拒否する」としている。
 ブラジル政府による米国への核施設攻撃非難は、BRICS会議議長国としての観点からのものとの見方もある。22日、連邦政府関係者はCNNブラジルからの取材に対し、今回の件が7月6、7日にリオ市で開催されるBRICS首脳会議に大きな影響を与える要因になり得るとの見方を示した。(2)
 現在のBRICSは、本来のブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカに加え、中東からイラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、それ以外の地域からもエジプトやインドネシアといったイスラム教国家が加わっている。中国やインドにも少なからずイスラム教徒が存在する。
 ただ、ブラジル政府関係者によると、その事実により、BRICS諸国の見解が一つにまとまるわけではないとの見方も強めている。それは、サウジアラビアやUAE、エジプトが米国の同盟国であり、イランの核保有を強くけん制しているためだという。
 また、イラン議会が米国への報復として、同国への石油輸送ルートとなっているホルムズ海峡の封鎖を承認し、同海峡封鎖を示唆していることも国際的に懸念されている。同海峡封鎖はイランにとっても、自分の首を絞める行為となり得るが、これにより、ブレント石油価格の急騰やそれに伴う国際的なインフレ、市場の混乱が予想されているためだ。(3)
 国際市場アナリストのジャクソン・カンポス氏はG1サイトの取材に対して、「これはブラジルにおいてもガソリンやディーゼル油、食品価格の上昇を意味する。船舶の貨物輸送のコスト高は輸出入にも影響を及ぼす」と分析している。
 ゼロ・マーケッツ・ブラジルのアナリスト、マルコス・プラッサ氏も、「現時点ではまだ最悪のシナリオではない。だが、本当にホルムズ海峡を封鎖すれば状況は悪化し得る」との見解を示している。


上院が下議数増す法案審議=経費増え、世論も不評だが前の記事 上院が下議数増す法案審議=経費増え、世論も不評だがPCCが世界28カ国に拡大=日本もコカイン販売先に次の記事PCCが世界28カ国に拡大=日本もコカイン販売先に
Loading...