上院が下議数増す法案審議=経費増え、世論も不評だが

最高裁が6月30日までに人口比に応じた議席数の再配分を行うよう命じたことを受け、下院が作成し、5月に承認した議席数を増やす法案を、上院が25日の議題に組み込んだと22日付CBNサイトなど(1)(2)が報じた。
現在の下議は513人で、1985年の人口を基に割り振り、1994年選挙に適用されて以来、変わっていない。総人口は増えているのに下議総数が変わっていないのは、人口の増減に合わせ、各連邦自治体から選出される下議数を増減して帳尻を合わせていたからだ。2023年の最高裁の下議数調整命令も、総数は513人に保ったままで票の格差を是正することを求めたものだった。
これまで通りの総数を保って調整すると、アラゴアス、バイア、パライバ、ペルナンブコ、ピアウイ、リオ、リオ・グランデ・ド・スルの7州は選出下議が減り、アマゾナス、セアラー、ゴイアス、ミナス、マット・グロッソ、パラー、サンタカタリーナの7州は下議数が増えるはずだったが、今回は議席数が減る州が従来通りの調整に反対。9州の定員数を計18増やして531とする議員立法法案PLP177/2023は、ペルナンブコ州選出のウゴ・モッタ下院議長(共和者、)らが先頭となって委員会審議が不要な緊急議案とし、5月6日に下院本議会で承認した。同法案で下議数が増す州とその数は、パラーとサンタカタリーナ各4、アマゾナス、マット・グロッソ、リオ・グランデ・ド・ノルテ各2、セアラー、ゴイアス、ミナス、パラナ各1となっている。(3)(4)
連邦自治体選出下議の再配分は選挙高裁が1997年に検討し、2013年に定数更新のための決議を公布。だが、同年12月に議会がこの決議の効力を差し止める法案を承認。2014年には最高裁が、選挙高裁に定数を更新する権限を委譲した法律の条項と選挙高裁の決議は違憲と判断した。
このような経緯もあり、最高裁は下議定数を保ったままの調整を命じたが、下院が定数を増やす法案を承認したため、ダヴィ・アルコルンブレ上院議長がモッタ下院議長に同法案を緊急審議にかけることを伝え、25日の本会議の議題の一つに盛り込んだ。
ただ、連邦議会内では金融取引税(IOF)引き上げに反対し、連邦政府に経費削減努力をと迫る動きがあるのに、下議の定数改正法案は年6500万レの経費増を招く。また、世論調査でも76%が反対している中での法案審議継続は国民からのさらなる反発を招く可能性があり、議会内の意見は完全に統一できていない。また、6月祭りで議会が空洞化しているため、25日は遠隔審議となる。
上院も下議定数の改正法案を承認すれば、新定数は2026年選挙から適用される。また、州議会や連邦直轄区議会の議員数は下議数と連動するため、現行総数の1059人は1079人に増える。他方、現行の下議総数が維持されれば、連邦自治体議員数は1055人に減る。
連邦議会が6月30日までに改正法案を承認できなかった場合は、選挙高裁が定員数の再割当を行うことになる。