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我れ、生まれ出づる国を訪れる3=ポルト・アレグレ=杉村士朗

2025年7月1日

 翌日、来た道を引き返した。
 初秋の男鹿半島の空は青く澄みわたり、早朝の日の柔和な陽光が降り注いでいた。濃緑樹林に覆われた小高い山々を背景に黄金色に実った稲田があった。
 夫婦と思われる二人の農民が、黙々と刈り入れをしていた。
 その時、私の胸は初恋の如くドキッと高鳴った。
 自分の生れ出た国の自然があまりにも静寂で平和で美しかったので、不意に感動に襲われたのだ。そして、始めて目にする風景にもかかわらずどこかで見た事があるような気がしてならなかった。
「あ!そうだ!」
 ゴッホが描いたアルルの農村風景画にそっくりだったのだ。
 私は、ゴッホの足跡を辿...

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