クーデター疑惑審議=BN被告が直接問い正す=シジ氏を「嘘つき」と罵倒=証言真偽巡り対面で尋問

クーデター計画疑惑で中心的な役割を果たしたとされる「核心1」の裁判に関連し、マウロ・シジ被告が司法取引で行った供述内容は虚偽とするヴァルテル・ブラガ・ネット被告の訴えを受け、シジ氏とブラガ・ネット氏という被告人同士を対面で尋問する裁判手続き「対質」(アカレアソン)が24日午前中に行われた。同日付G1サイト(1)が報じている。
陸軍大将で2022年大統領選ではボルソナロ前大統領の副候補を務めたブラガ・ネット氏と、陸軍中佐でボルソナロ前大統領の側近だったシジ氏は、24日に最高裁でアカレアソンを行った。この対決審問には、クーデター疑惑裁判の報告官のアレッシャンドレ・デ・モラエス判事や第1小法廷所属のルイス・フクス判事、パウロ・ゴネ連邦検察庁長官が立ち会った。
アカレアソンは証言内容に矛盾が見られる証言者と被告または証言者同士が対面で供述を行うことで事実関係を明らかにする手法で、証言者の証言内容に矛盾を感じた被告や検察官の要請などによって実現する。
今回の場合は、ブラガ・ネット氏が、大統領選で当選したルーラ氏とジェラルド・アルキミン氏のシャッパ、さらにモラエス判事の殺害計画を作ったとされる陸軍の特殊部隊「ブラック・キッズ」のメンバーからなるグループ「緑と黄色の短剣」に対し、ワイン箱に詰めた現金を提供したとしたシジ氏の供述に異議を申し立てていた。
今回のアカレアソンは午前10時に始まり、1時間50分ほど、非公開の形で行われた。 ブラガ・ネット氏の弁護人は他の審理同様に今回の対質を録音できるよう求めたが、それは却下された。
ブラガ・ネット氏の弁護人のジョゼ・デ・オリヴェラ・リマ氏によると、ブラガ・ネット氏は対質中に2度、シジ氏を「嘘つき」と呼んでおり、シジ氏はうつむいたという。「これほど重要な対質を録音、録画できないなど、容認できない」とリマ氏は不満を漏らした。ただし、内容は書記官が記録している。(2)
アカレアソンでのシジ氏は、ブラガ・ネット氏に対するこれまでの証言を繰り返した。それは、ブラガ・ネット氏が大統領公邸内で「これは以前、君が頼んでおいたものだ」といって現金を手渡した件で、シジ氏はその金を公邸内の執務室の机の下に置き、その後、ブラック・キッズの一人で被告となっているラファエル・デ・オリヴェイラ少佐に手渡したと語っている。ただし、2度目の金の受け渡し場所は正確に特定できず、公邸の敷地内だったと述べるにとどめた。
リマ弁護士は「封がしてあったはずのワイン箱の中に現金が入っていたことはどうしてわかったのだ」とこの証言を疑問視している。
またブラガ・ネット氏の弁護側は、シジ氏が主張している、ルーラ氏らの当選を阻止する計画の発端とされる2022年11月にブラガ・ネット氏が主催した会議の際の言動にも疑問を呈している。シジ氏は「自分は会議終了前に一人で帰った」と供述しており、それは今回も繰り返された。だが、ブラガ・ネット氏は、シジ氏は「ブラック・キッズの2人と一緒に帰った」と主張している。(3)
シジ氏とブラガ・ネット氏のアカレアソンは、その次に予定されていた元法相のアンデルソン・トレス被告と元陸軍総司令官で証人のオスカル・フレイレ・ゴメス氏との対質を行うために打ち切られた。リマ弁護士は「あれほど一貫性のない脆弱な証言がなぜここまで深刻に捉えられるのか」と不満を漏らしており、もう一度、司法取引の無効化を求める意向も表明した。