リオ・グランデ・ド・スル州=死者4人で洪水被害一段落=南極下ろしで零下8度記録

16日からの雨や風で、リオ・グランデ・ド・スル州では146市で洪水や停電などの被害が出ているが、州防災局は24日朝、複数の河川ではまだ水位上昇が見られるが、当面は先週のような洪水被害は起きないとの見方を示した。
同日付フォーリャ紙など(1)(2)によると、24日朝現在の報告では、死者4人、不明者1人、親戚宅などに身を寄せている人は7098人、避難所に退避している人は1016人で、水に囲まれて孤立したりして消防などの手で救出された人も700人を超えた。避難所に退避している人が最も多いのは、24年の大水害でも甚大な被害を受けたエルドラド・ド・スル市の184人だ。
22、23日の時点ではカイー川やタクアリ川、強風にあおられたグアイバ湖などで水位上昇が報告されているが、州防災局は24日朝、当面は先週のような洪水は起こらないとの見通しを表明し、毎日行われていた被災状況の報告も、数字が動いた場合にのみとする方針を明らかにした。
一例はグアイバ湖で、24日9時15分現在の水位は、22~23日の3・2メートル以上の3・27メートルとなったが、洪水位とされる3・6メートルは下回っている。同湖の最高水位は24年の大洪水時に記録された5・35メートルだ。
同州を含む南部3州では23日以降、南極からの寒気団流入で気温が急変。降雪や降霜も起こり得るとの予報通り、サンタカタリーナ州山間部ウルペマでは24日朝、零下8・2度を記録。各地で霜も降りており、雨対策よりも寒さ対策が必要となっている。(3)(4)
雨が一息ついたことは、リオ・グランデ・ド・スル州で唯一、非常事態を宣言したジャグアリー市の動きを見ても明らかだ。同市では、16~24日に6月の平均降水量(133ミリ)の3倍近い373ミリの雨を見、市内を流れるジャグアリー川の水深が、通常の6メートルの倍以上の13メートルに到達。サグラド・コラソン・デ・ジェズス、リヴェラなどの地区中心に200軒以上が浸水被害に遭い、1200人以上が自宅から退避した。同市の被害は2024年を上回り、1984年以降で最悪とされたが、23日からは日も差し始め、自宅に戻って清掃活動を行う人の姿も見られ始めた。(5)(6)
リオ・グランデ・ド・スル州での雨は昨年ほどの豪雨にはなっていないが、23年、24年に続く3年目の広域水害でジャグアリーが非常事態を、20市が緊急事態を宣言。集中豪雨、嵐といった言葉が日常化しているとの声も聞かれる。また、ポルト・アレグレでは昨年の大水害で壊れた水門の修理が終わらない内の雨で土嚢を積む姿が見られたし、23、24年の水害で田畑が荒れ、農作物も流されて借金が累積している農家など、復興・回復が道半ばの状態での水害は多くの人の生活を圧迫している。国家配給公社(Conab)は家族農の人達が栽培した農作物などで作った基礎食料品セット4千個(約68トン)を同州に届け、炊き出しなども行われたが、内陸部の雨の流入と強風の影響が続くグアイバ湖の周辺などはまだ、気が許せない状態が続く。(7)
なお、南極からの寒気団流入とそれに伴う寒冷前線の影響は南東部や中西部の一部でも出ている。一例はサンパウロ州で、23日は寒冷前線通過に伴う強風や雨で海岸部のイベント会場の覆いの倒壊や倒木、停電などの被害が起きた他、降霜なども予想されており、路上生活者や農産物などに注意が必要な状態となっている。(8)