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PT=党首候補討論会で懸念噴出=労働者や貧困層の支持回復を

2025年7月10日

討論会に臨む党首候補達(左からエジーニョ氏、ペレイラ氏、ファルコン氏、ポマール氏、Reprodução do YouTube)
討論会に臨む党首候補達(左からエジーニョ氏、ペレイラ氏、ファルコン氏、ポマール氏、Reprodução do YouTube)

 ルーラ大統領(有働社党・PT)が議会で手痛い敗北を喫したことやPT政権が支持率低迷からの脱却に苦戦していることで、PTは2026年選挙への懸念を強めている。6月に行われた党首選候補達の討論会で、党幹部達は大統領選での敗北への懸念や党員の士気低下について率直に語ったと6月30日付ヴァロールなど(1)(2)(3)が報じた。
 7月6日に行われる党首選を前に開かれた党首候補4人との討論会は6月2日~29日に5回行われ、26年選挙に向けた選挙戦略やルーラ氏再選を果たすためには何を前面に打ち出すべきかといった質問が頻繁に投げかけられ、ルーラ政権の支持率向上に向けた課題を浮き彫りにした。また、経済政策や議会との政局調整、大統領選や知事選への候補者擁立の遅れについても批判が相次いだ。
 討論会に臨んだ党首候補は、アララクアラ元市長のエジーニョ・シルヴァ氏、PT元党首で下議のルイ・ファルコン氏、同党国際関係局長のロメニオ・ペレイラ氏、党内でもより左よりでABC連邦大学教授のヴァルテル・ポマール氏の4人だ。(4)
 党首候補達は皆、メンサロン、ジルマ元大統領の罷免、ラヴァ・ジャット作戦にルーラ氏の投獄といった危機を経験しているが、現在は近年の党の歴史の中で最も困難な時期と明言し、懸念を表明。他方、26年選挙ではルーラ氏再選を目指すという点でも、全員一致している。
 討論会では経済分野を中心とする政府の方針転換や、ルーラ氏とPTが政府への不支持率を覆すための行動を起こすことを求める圧力が高まっていると論じられた。ペレイラ氏は「我々は過ちに目をつぶることはできない。政府を擁護するということは批判から政府を守るということではない」「政府が変わるか、国民が政府を変えるかだ」として、責任ある発言をする必要を説いた。
 また、貧困層との関係の再構築やSNSでのコミュニケーションの改善の必要性と共に、非正規労働者や若者、保守派との対話を強化することへの圧力も高まっている。26年にどのような言説を用いるかも課題だ。
 党内多数派の候補者で、ルーラ氏が水面下で支援しているエジーニョ氏も、党と大統領が直面している状況は極めて深刻で、左派にとり、第2次世界大戦以来で最も困難な状況だと述べた。議会が520億レもの議員割当金を使う現状はもはや大統領制とは言えない。24年選挙で弱体化した党の勢いを盛り返すため、辺境の人々と新たな労働者階級のために闘う必要があるとも強調した。
 ポマール氏も、PTは原点から逸脱し「正念場」を迎えていると批判した。同氏は、党内の活動家達の努力にもかかわらず、党は日々の組織化と闘争の場に姿を現しておらず、労働者階級の支持を失いつつあるとし、26年選挙では敗北か僅差の勝利に終わるかの瀬戸際にあると述べた。
 ファルコン氏は26年選挙における党の「停滞」を訴え、議会での敗北への懸念を表明。「我々は議会で暴力的な包囲網に追い詰められている。彼らはボルソナロ派が穏健派であるかのようにふるまい、我々が敗北するような条件を創り上げている」と述べた。また、「国民の間には不満がある」「我々の支持率は非常に低く、方針変換が必要」「2最低賃金以下の人達を含む労働者階級での支持率を取り戻す必要がある」とし、世論調査を過小評価しないよう警告した。
 また、ペレイラ氏は、PTと国民の間に距離ができ、ルーラ氏や議員達を選んでくれた票田を失っており、回復不能な部分もある。18州を回ったが、活動家達の士気が低下していると警告。PTはメーデー以外、民衆を街頭に呼び出していないとも述べた。
 ポマール氏は選挙年以外も毎年、キャラバンを組むことを擁護。エジーニョ氏は票田を取り戻すため、和解やより具体的な方針の提示を訴えているが、ポマール氏は和解は敗北を招くとし、国民を動員し、議会に圧力をかけるべきだと述べている。(5)
 党首候補達は皆、ルーラ氏やPT政権を支えてきた労働者や貧困層の支持を失いつつあることに危機感を持っており、労働者との関係の再構築や政策や方針変更などの必要性を説いた上で、6日の投票を待っている。


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