site.title

糖尿病の飼い主支える雑種犬=深い絆が生んだ異常感知力

2025年7月31日

 1型糖尿病を患うジャーナリスト、トム・ブエノ氏が低血糖による発作を起こした際、飼い犬である雑種犬アモーラがいち早く異変を察知し、そばで警戒態勢をとる様子が動画に収められ、その献身的な姿が注目を集めている。アモーラは特別な訓練を受けていないが、飼い主との深い絆を通じて、匂いなどから体調の変化を敏感に察知する能力を自然に身につけたとされると28日付テラ(1)が報じた。

 野良犬だったアモーラは、2018年にトム氏に偶然拾われて以来7年間共に暮らしている。2020年に新型コロナウイルスのパンデミックが始まり、両者は自宅で過ごす時間が格段に増えた。トム氏は「長時間一緒に過ごすようになってから、彼女は私の低血糖の兆候や体調の変化に対し、敏感に反応するようになったと思います。訓練は一切受けていませんが、私の具合が悪いときには、いつもこうしてそばに寄り添ってくれるのです」と語った。

 SNSで公開された動画には、自宅のソファに座ったトム氏が、すでに不調の兆候を示している様子が映っている。その隣でアモーラは一歩も離れることなく彼をじっと見守り、時折耳を立てて周囲にも警戒を向け、まるで〝看病〟しているような姿勢を取っている。トム氏によれば、動画撮影を開始する少し前から、アモーラは明らかに緊張を帯びた挙動を見せ、次第に落ち着きを失っていったという。

 この時、トム氏はすでに血糖値の異常に対して処置済みであり、めまいが治まるのを待っていた状況だったが、アモーラはその間も一貫して異変に対して集中した様子を崩さなかった。映像からは、飼い主を守ろうとする彼女の真剣な眼差しがはっきりと確認できる。

 トム氏は「この行動を記録できたのは、今回が初めてです。低血糖状態では思考が混乱し、認知機能にも影響が出ます。めまいや、意識が遠のくような感覚に襲われることがあります」と語った。

 アモーラのこの行動について、医療警戒犬の専門家であり、プロのドッグトレーナーでもあるグラウコ・リマ氏は、家庭犬には生得的に環境や飼い主の情緒・身体状態の変化を察知する能力が備わっていると指摘。専門的な訓練を受けなくても、「飼い主との深い絆が自然と訓練のような役割を果たし、アモーラのこの行動を導いたのでしょう」と説明した。

 同氏によれば、糖尿病は「沈黙の病」とも称されるが、アモーラは日常の中で繰り返し起こる軽度の発作を経験し、その都度、飼い主の体から発せられる匂いの変化、特に低血糖時に体内で発生する化合物「イソプレン」を感知していた可能性が高いと分析している。

 こうした経験の積み重ねにより、アモーラは特定の匂いと飼い主の異変を結びつけ、発作の前兆を〝学習〟していったとされる。こうした医療警戒犬は電子センサーよりも早く、発作の30分以上前に異常を察知することもある。

 こうした天性の能力をさらに強化するためには、専門的な訓練手法を用いることも有効だという。特に公共の場においても警戒行動を促す方法があり、それによって患者の自立を助ける支援犬としての役割を果たすことが可能となる。

 リマ氏は「発作への不安から外出を避ける人も多くいますが、こうした犬たちは予防的なサポートを提供することで、飼い主の社会的・職業的な生活を安全に、そして前向きに取り戻す助けとなります」と結論づけた。

トムさんと愛犬アモーラ(Foto: Reprodução/instagram@tom_bueno)
トムさんと愛犬アモーラ(Foto: Reprodução/instagram@tom_bueno)

顔認証利用拡大で懸念広がる=専門家「強制は違法」と警鐘前の記事 顔認証利用拡大で懸念広がる=専門家「強制は違法」と警鐘
Loading...