中国が連帯示して急接近=米国の対ブラジル関税は「脅迫」

セルソ・アモリン大統領付外交問題特別顧問は6日、中国の王毅外相と電話会談を行い、二国間関係や最近の通商政策をめぐる情勢について意見を交わした。王毅外相は米国による対ブラジル製品への50%の追加関税措置を「脅迫」と批判し、ブラジルの主権および経済的権利を擁護する立場を表明した。さらに、不合理な外部干渉への抵抗を支持する姿勢を示すとともに、ブラジルとの協力関係を深めていく意向を示したと6日付G1など(1)(2)が報じた。
ラテンアメリカ・カリブ地域に焦点を絞ったニュースサイトnodal.am5月13日付の記事「中国-CELACフォーラム、その起源と進化」(3)によれば、中国はすでにラ米諸国に深く食い込んでいる。中南米カリブ海諸国(LAC)の22カ国が「一帯一路」構想に参加しており、そのうち10カ国が中国との具体的な協力計画に署名した。チリ、ペルー、コスタリカ、エクアドル、ニカラグアの5カ国は、中国と二国間自由貿易協定(FTA)を締結。エルサルバドルなど他の国々は締結手続き中だ。
中国は数年連続でLACにとって第2位の貿易相手国であり、ブラジル、チリ、ペルー、ウルグアイなどの市場にとっては最大の貿易相手国だ。2024年には、中国とLAC間の貿易額は約5184億6700万ドルと過去最高を記録し、10年前の2倍の水準に達すると予想され、今後も成長が続くと見込まれている。
中国は中南米カリブ海諸国(LAC)において200件以上のインフラ整備プロジェクトを実施し、100万人以上の雇用を創出。LAC諸国の住民に対し、約1万7千件の中国政府奨学金と1万3千件の研修機会を提供した。26のLAC諸国に68の孔子学院が設立されており、ラ米諸国での存在感は日々強まっている。
そこへトランプ関税で、ブラジルにおける中国の存在感も一気に強まった。中国国営の新華通信で公表された報道によれば、中国外務省はトランプ政権の関税圧力について「多国間貿易体制に基づく公正な貿易秩序を共に守る」と明言し、ブラジルへの連帯姿勢を明らかにした。両者は、貿易や金融の分野における協力の一層の深化を目指す方針を共有したほか、BRICS諸国の連携強化に向けた支持を表明した。
トランプ米大統領が同日より実施したブラジル製品に対する50%の追加関税措置に対しては、中国政府も強く反発している。中国のこの発言は初めてのものではなく、7月の関税発表直後にも中国は関税を「強制、威圧、干渉の手段として用いるべきではない」との立場を示していた。毛寧(もうねい)外交部報道官は当時、「主権の平等と内政不干渉は国連憲章の重要原則であり、国際関係の基本規範だ」と述べた。王毅外相も米国の関税措置が「国際貿易秩序を損なう」と指摘した。
ブラジルはトランプ関税対象国の中でも最大規模の課税率が適用されている。トランプ氏は政治的背景も絡め、ボルソナロ前大統領に関する最高裁審議を「魔女狩り」と非難し、裁判の即時停止を求めていた。ボルソナロ氏は今月4日には裁判所からの予防的措置に違反したことを理由に、自宅軟禁が命じられている。