裏千家が大宗匠追悼ミサ=矢野氏が新淡交会会長に就任
茶道裏千家ブラジルセンター(林宗一代表)は、裏千家今日庵第15代家元、千玄室大宗匠が14日に102歳で逝去したことを受け、サンパウロ市のブラジル日本文化福祉協会(文協)ビル内の茶室「伯栄庵」(Rua São Joaquim, 381, 4º andar)にて追悼ミサを執り行った。
床の間には大宗匠の遺影と「和気満高堂(わきこうどうにみつ)」の掛け軸が掛けられ、参列者が線香を手向けた。林代表は、大宗匠の半生を振り返るとともに、これまで4度にわたりブラジルを訪れ、日伯の茶道交流に深く関わったことを紹介した。
裏千家の中南米普及は1954年、サンパウロ市制400年を記念してイビラプエラ公園内に日本館が建設された際、千玄室大宗匠(当時は千宗興若宗匠)が茶道使節として来伯したのがきっかけだ。
大宗匠は2014年8月30日、茶道裏千家の中南米布教60周年とブラジル協会設立60周年を記念して来伯した際に講演し、「古くはイエズス会の宣教師とも、お茶会を楽しんでいる。茶室内には宗教の隔たりが存在せず、人々が一体となれる」と融合性を強調。「心を清らかにし、無心で相手を思いやる気持ちは、やがて世界を平和にする」と茶道の在り方を語った。「コーヒーも良いがお茶は健康に良い。平和な国を築くため、ブラジルこそ茶道の役割を果たせるのではないか」との期待を述べていた。
追悼ミサでは、2024年2月に逝去したエリソン氏の後任として空席となっていたブラジル淡交会会長に、今年6月、矢野敬崇氏が就任したことが発表された。矢野氏は般若心経を唱えて大宗匠を悼み、さらに1988年の移民百周年記念行事で初めて大宗匠に出会い、大きな感銘を受けた体験を語った。
矢野新会長は就任のあいさつの中で、「父は海軍航空隊に所属していたが、視力が悪くパイロットにはならず整備兵として従軍した。そのため戦後に私が生まれることができた」と述べ、大日本帝国海軍の特攻隊員として入隊した大宗匠との共通点に触れた。