開拓当時の苦闘物語(3)=サンパウロ 吉田しのぶ
独立して我が土地となり、二人で建てたサッペ小屋が完成した。ようやく一家の主となったのである。その喜びは何物にも代えがたく、未来への夢と希望が膨らんだ。まだ20代の若さであった、まず家を建てるにあたって山から切り出した生木を家の四柱に使った。
乾かして使うなど悠長なことはいっておられない。まず生木の四つ柱を土に埋め込み、竹を小さく切って格子編みにして、泥土にサッペを刻んで練り込み団子にまるめて壁に塗り付けるのであるが、自分たちの住む家と思えばこの重労働もなんのその、完成に近づくにつれて闘志が湧き喜びもひとしおであった。瓦の代わりにサッペ屋根を葺いて家が完成した。
だ...
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