site.title

JICA=所長「4人なのに10人分聞いた」=協力隊23年度2次隊最終報告会

2025年10月15日

前列左から小崎信秀さん、麻生公子さん、宮崎所長、堀脇次長、芦田園美さん、渡辺尚子さん
前列左から小崎信秀さん、麻生公子さん、宮崎所長、堀脇次長、芦田園美さん、渡辺尚子さん

独立行政法人国際協力機構(JICA)ブラジル事務所(宮崎明博所長)は10日午後、海外協力隊2023年度2次隊の最終報告会をサンパウロ市のブラジル事務所で行った。派遣先の代表者らが見守る中、4人が次々と充実した2年間の成果を報告した。堀脇友美子次長は「お疲れさまでした。色々な思いを抱えてこられたと思いますが、皆さんの活動は確実に派遣先団体の役に立ったと思います」と開会の言葉を述べた。

最初に、アチバイア日伯体育協会に野球で派遣された小崎信秀さんは、当初の目標としてチームの勝率75%を掲げていたが、1年目40・8%、2年目60%と達成できず残念としながらも、年間のランキングで3位に入るなどの成績を残し、「ブラジル代表チームの試合前には、寝ないで対戦相手の試合データを取り、渡すこともあった」と充実した活動を報告。「対戦相手や審判にすぐ文句を言う保護者もいて、根気強く理解を求めて説明をした」とのこと。

次にブラジル日本語センターにマーケティングで派遣された芦田園美さんは、話題性のある新イベントの企画をして日本語学習者を獲得し、同センターの知名度アップとブランディングを図ることを目標にし、アフレコチャレンジコンテストを企画し、アニメ映像二次利用の権利元との交渉に難航しつつもやり遂げた経緯を報告。「JICA初め色々な方の後押しでようやく実現。私は企画と交渉、実施は職員と理事の皆さんがやってくれています」と協力に感謝した。

同センターの矢野敬崇理事長は「発表にはなかったが、他にも重要な仕事をしてくれた。彼女に調査を依頼した結果、日本政府には海外における日本語普及戦略がないことがはっきりし、我々が作ればいいと分かった。センターにとても意義深い情報を探してくれた」と語った。

ブラジル日報協会にマーケティングで派遣された麻生公子さんは、最初に配属先全員にインタビューして課題の洗い出し、SNSやサイトの現状分析、読者の満足度調査を行った。その上でコア事業を選び、経営資源を集中するために改善点の優先順位を決定し、JICAの支援を得てサイトリニューアルなどを実施してきた。

サイトは日伯両通貨で支払い可能になり、日ポ両語で記事が掲載され、今までなかった法人会員向けプランが作られ、進出企業の会員増に向けた土台を作った。SNSにテコ入れした結果、フェイスブックのフォロアーは7千人弱から1万人超に、インスタグラムは3千人弱から1万人強に、ユーチューブも500人から3千人に増加するなど目にみえる成果を出した。

加えて、昨年の連邦政府謝罪の現場にも立ち会って自ら動画を編集配信するなどマルチな活動をした。麻生さんは「貴重な取材現場にも立ち会わせてもらい、日系人の偉大さを実感。日系社会の素晴らしさを日本の皆さんにもっと知ってほしいとしみじみ感じた」との感想を述べた。

あけぼのホームに高齢者介護で派遣された渡辺尚子さんは「私が日本で働いていた高齢者施設では、家族が来るのは盆と年末ぐらいだったが、当地では頻繁にくる。施設のフェスタでは家族総出でやってきて絆の強さを感じた。日系社会はあったかいとつくづく思った」と述べ、「高齢者の人生最後の時間を共有させてもらい、心から感謝です」と涙を流しながら語った。

最後に宮崎所長は「4人なのに10人分ぐらいの報告を聞いた気がする。いくら努力しても成果が出ない場合もあるだろうが、そのプロセスが財産になる。日本に帰ってからも日系社会の素晴らしさを伝える活動をしてもらいたい」との言葉を贈った。4人は26日に帰国する。

画像スライダー (4枚)

商議所=板垣駐パ大使が企業進出推奨=低税率、安定経済、犯罪少強調前の記事 商議所=板垣駐パ大使が企業進出推奨=低税率、安定経済、犯罪少強調
Loading...